Duco
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デュポン社で製造販売された自動車塗装用塗料の商標名。1920年代の自動車に用いられた。ゼネラル・モーターズ・リサーチ・コーポレーション(General Motors Research Corporation)のチャールズ・ケタリングが開発した。
これは現代で一般に速乾ペイントといわれている塗料のさきがけとなったものである。Duco以前には、ペイント作業の仕掛かりおよび仕上げ作業で3週間は必要であり、自動車メーカーが1日1000台を製造するためには仕掛かり中の車を1万8千台保管するスペースとして21エーカー(約85000平方メートル、8.5ヘクタール)は必要だった。Ducoにより延べ336時間(丸々14日間)の作業が13.5時間に短縮された[1]。
デュポンは英国のICI(インペリアル・ケミカル)と1929年に特許ライセンスと研究開発について世界的な市場のテリトリー分けをおこなった[2]。これはのちに、海外共同事業に米国での独禁法違反の司法判断が下され、1953年に解消されている。[3]しかしながら、Ducoという商標はICIがICI Autocolor事業部で使い続けていた。
現在Ducoという名は世界的な自動車塗料メーカーであり北米の大手建築塗料メーカーであるPPGインダストリーズ(米国ペンシルバニア州ピッツバーグ)がNexa Autocolor部門で自動車塗料の商標として使用している。Nexa Autocolorは英国ICI社からICI Autocolor事業部を1999年に買収しPPGの傘下事業部として継続使用していた名前を、買収後の総仕上げとして2002年に変更したもの。[4]