ETOPS/LROPS
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ETOPS(Extended-range Twin-engine Operational Performance Standards)は、双発旅客機のエンジン1基停止を想定して、ICAOが課したルールである。ETOPSルールは新たに提案されたLROPS(Long Range Operational Performance Standards)システムに置き換えられる可能性がある。
[編集] ETOPSルールの概要
ETOPSでは、双発旅客機のエンジン1基が何らかのトラブルで停止し、エンジン1基のみでの飛行する場合の飛行可能な時間が定められている。
ETOPS制定以前では、現在に比べエンジンの信頼性が低かったため、双発旅客機は直近の空港から60分以上離れたところを飛ぶことは認められなかった。そのため、大洋や北極を最短距離で横断するような航路に双発旅客機を就航させることは出来なかった。その後の技術進歩でエンジンの信頼性が高まったことと、3発以上の旅客機に対して経済性に優れた双発旅客機をより広範な路線に就航させたいという航空会社の要望もあり、事前に認定を受けた双発旅客機のエンジン1基のみで飛行できる時間を120分に延長することが出来るようになった。これがETOPS120ルールである。
さらにエンジンの信頼性が向上すると、ETOPS180やETOPS207の認定を受け、地球上のほぼすべての地点を飛行できるまでになった双発旅客機も登場し、経済性に優れた双発旅客機が飛躍的に勢力を拡大し、3発機や4発機の活動範囲を狭める要因となった。
しかし、ETOPSは旅客機1機毎の個別の認可が必要であり、ETOPSルールの適用時間は同じ機種・型式の旅客機でも航空会社(の運行実績と整備水準)によって違いがある。また、ETOPSルール適用の旅客機は3発機や4発機よりもエンジンを中心として厳しい検査体制が採られている。
[編集] 120分から180分へ
世界ではじめてETOPS180の認定を受けることに成功した旅客機はボーイング777で、当たり前のことだが搭載している2基のエンジンの信頼性が増したためである。
[編集] 外部リンク
- Great Circle Mapper - Great Circle mapper including ETOPS ranges (英語)