Favicon
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Favicon(ファビコン、ファビアイコン)はウェブサイトやウェブページに関連付けられたアイコンのことである。Favorite iconという言葉を略したもので、英語読みではファブアイコン(Fav-icon)となるものだが、日本では一般的にファビコンやファビアイコンと読まれている。ウェブデザイナーはデザインの手段としてアイコンを作成して利用することが出来、また最近のウェブブラウザの多くがこの機能に対応している。対応しているウェブブラウザはお気に入りリストやアドレス表示欄、タブブラウザではタブに表示されたページタイトルの左側に読み込まれたアイコンを表示する。
Faviconは最初、ウェブサーバーのルートディレクトリにfavicon.icoというファイルを設置することで認識されるようになっていた。Faviconのあるページをお気に入りに登録すれば自動的にお気に入りリストでアイコンが表示された。後にFaviconは改良され、(X)HTMLから直接指定することでより柔軟なアイコン指定を可能とした。<head>
記述部分にFaviconの指定を行うlink要素を記述することで任意ファイルを参照する仕組みである。この方法でウェブブラウザはFaviconとして作られたファイルをFaviconとして参照できるようになる。多くのページではICO形式のフォーマットを用いているが、最近のブラウザではGIF形式やPNG形式もサポートされるようになってきている。
最近では多くのブラウザがルートディレクトリ方式とHTMLによる直接指定方式の両方をサポートする。このため例えウェブページがアイコンを参照していなくてもfavicon.icoのファイルを見つければ自動的に参照するようになっている。しかしルートディレクトリを解析することがサーバーへの負担となることやアイコンのキャッシュが消えたときお気に入りリストのアイコン白紙化が問題とされている。このため後者に関しては多くのブラウザがアイコンのキャッシュを通常のキャッシュと別扱いにして専用のフォルダに保存することで問題を回避している。
Faviconは元々Internet Explorerのお気に入りに使うためのものとして独自に実装された機能であり、またお気に入りに登録しなければアイコンが表示されない仕組みであった。これによりウェブサイトの管理者はユーザーの何人がfavicon.icoのファイルにアクセスしたかを調べることでお気に入りに登録したユーザーの数を確認していた。しかし最近ではInternet Explorerも含む多くのブラウザがアクセスした時点でFaviconを読み込むようになったためアクセス統計に使うという当初の意味は最早ない。
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[編集] Faviconの指定方法
- 単独でも効果はあるが、両方指定するのが望ましいとされる。
<link rel="shortcut icon" href="http://example.com/favicon.ico" type="image/x-icon">
<link rel="icon" href="http://example.com/favicon.ico" type="image/x-icon">
- link要素はHTMLのヘッダ部分(
<head>
と</head>
の間)で指定する必要がある。 - XHTMLでFaviconを指定する場合にはタグの末尾を
/ >
としなければならない。 - hrefで指定するときは別にアイコンがfavicon.icoでなくても構わない。hrefを用いることによりサイト内のどのようなアイコンでもFaviconとすることが可能である。
- 通常、ウェブブラウザがサポートする形式であればどのようなフォーマットを用いても良い。ただし例外的にInternet ExplorerはICO形式のフォーマット以外認識しない。
- ICO形式のファイルはいずれFaviconをサポートするブラウザ全てで利用できるようになると思われる。
- ウェブサーバー側ではアイコンのMIMEタイプを正しく指定する必要がある
-
- ICO形式は
image/vnd.microsoft.icon
(代わりとして、また互換性問題としてimage/x-icon
を指定する場合もあるが、IANAに登録された標準的なMIMEタイプを用いることが望ましい。) - GIF形式は
image/gif
- PNG形式は
image/png
- ICO形式は
- 適切な解像度と色数を用いる必要がある
-
- ICO形式:複数の色数と解像度(16x16と32x32、さらにMac OS Xなどで利用される64x64と128x128サイズのものを4ビット16色、8ビット256色、24ビット1600万色)を保存したものをマルチアイコンとして保存
- GIF形式:16x16サイズで256色
- PNG形式:16x16サイズで8ビット形式(256色)ないし24ビット形式
- 注1
- favicon.icoのファイルは何処からリンクされていなくてもルートディレクトリに存在するならば自動的にFaviconとして認識される。
- 注2
- 16x16サイズの画像を含まないfaviconを指定した場合、一部のブラウザのブックマークリストなどで正しく表示されない可能性がある。
[編集] 標準化問題
もともとFaviconはマイクロソフトによって提案され、Internet Explorerはあらゆるウェブサイトの指定URL(favicon.ico
)にFaviconを要求する仕組みであった。その後Microsoftはlink要素によりfaviconを呼び出す方法をサポートするようになったが、これは最初W3Cの勧告に従わない形式のものであった。
- 問題とされた点
- rel属性に半角スペースを含むため、二つの属性値として解釈されウェブブラウザを混乱させる。
- ICOフォーマットにはIANAに登録されたMIMEタイプの割り当てがないため、多くのブラウザはFaviconとして指定されたファイルの種類を解析することが出来ない。
- link要素はドキュメントのナビゲーション情報を示すWorld Wide Webのアーキテクチャとして知られており、link要素でFaviconを指定する用法は標準仕様に反する。
しかし2003年にICOフォーマットがimage/vnd.microsoft.icon
としてIANAに登録されたためこの問題は解決。さらにMozillaがブラウザでのサポートと同時に<link rel="icon" type="image/png" href="/path/image.png">
という形式を加え、link要素によるFaviconの重複指定でウェブ製作者がグラフィックフォーマットを複数指定することが出来るようになったため、書式の問題も実質上の解決となった。Mozilla SuiteのFaviconサポートを契機に、以後多くのウェブブラウザが、この仕様を新たにサポートするようになっており、ほぼ標準化されている。
[編集] ブラウザでの対応状況
2007年現在Internet Explorerをはじめとする主なブラウザがFaviconをサポートしているが、細部の挙動は各ブラウザによって異なる。アドレス欄やタブにアイコンが表示されてもブックマークリストに表示されないものもあれば、アドレス欄・ブックマークともに表示させるものも存在する。また、IEコンポーネントブラウザでFavicon処理機能は独自実装と言う形となるためIEとは挙動が異なる。
Favicon管理方法もブラウザによって異なるが、多くはFavicon専用のキャッシュを用いることで自動的に消えてしまうのを防いでいることが多い。ただしInternet Explorerに関しては初期の実装から現在に至るまで通常のキャッシュで保存を行うと言う形式を取っているため、キャッシュが消えたときにお気に入りリストのFaviconが消えるという問題が発生する。