Hisタグ
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Hisタグ(ひすちじんたぐ、ひすたぐ)はタンパク質の精製のために用いられるタグペプチドの一種であり、通常6個程度の連続したヒスチジン残基が分子生物学的手法により対象となるタンパク質に導入される。このようなHisタグを持つタンパク質は、Ni-NTA(nickel-nitrilotriacetic acid)などニッケルイオンを含むカラム充填剤(担体)に導入するとニッケルイオンにキレート結合を形成し、その結合力を利用したアフィニティークロマトグラフィーにより精製され純度よく得ることが出来る。
Hisタグを持ったタンパク質をニッケルイオンを含む担体に結合した状態でカラムに充てんし、バッファー(ウォッシュバッファー(Wash Buffer))を流すと、同じカラム内に存在するHisタグを持たないタンパク質などはバッファーとともにカラムの外へ洗い出される。十分な量のウォッシュバッファーを流したのち、高濃度(200 mM程度)のイミダゾール(Imidazole)を含むバッファー(溶出バッファー(Elution Buffer))を流すと、His残基と構造が似たイミダゾールがニッケルイオンに結合することにより、Hisタグ部分が担体から外れカラムの外に溶出され、これを回収することでHisタグのついた対象のタンパク質を純度よく得ることが出来る。
Hisタグは通常、目的とするタンパク質の生理活性に影響がない配列に導入される。