KJ-2000 (航空機)
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KJ-2000(空警2000)は、中華人民共和国がIl-76を母機として開発した早期警戒管制機。同様にIl-76を母機とする早期警戒管制機としてはA-50が存在するが、本機のシステムは中国にて開発された。
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[編集] 概要
KJ-2000の機体はA-50と同じIl-76MDで、ロシアから購入したものである。これに、イスラエル製のファルコン・フェイズドアレイ・レーダーを搭載する予定で、1999年からイスラエルへ改修作業に出していた。だが、アメリカの圧力により改修作業は中止され、どうにか機体は返還されたもののレーダーは調達できず、中国製レーダーを搭載することとなった。このレーダーは固定式三面フェイズドアレイ・レーダーで、探知距離200-400km程度と推測されている。「ファルコンは250マイル先の戦闘機を誘導できるが、その能力には及ばないだろう」「乗員10-15人で12機の戦闘機を管制する能力」とChinese Defence Todayは報じている。しかし、南京電子技術研究所(第14研究所)で開発されたこのレーダーはロシア経由で入手したファルコン・レーダーを参考に製作されており、初期のA-50の搭載したシュミェーリ・レーダーよりは高性能であるという情報もある。レーダーは故障が多く機能していないという噂もあるが例によって情報の出所が明示されておらず、現場から不具合の指摘があがってくるにはまだ時期的に早すぎるので噂の信憑性が疑われる。2006年1月から配備が開始され、2006年現在では南京の閻良基地に3機(B-4040, B-4041, B-4043)が配備されており、2007年4機目 CFTE #762が配備の予定で現在公試中である。
『航空ファン』2006年8月号は結局、中国製レーダーの搭載はなく、すべてロシア製のシステムで内容はA-50そのものであり、4機を保有すると報じているとの事でやや情報に混乱が見られる。
[編集] 2006年の墜落事故
2006年6月3日、安徽省で人民解放軍の航空機が墜落事故を起こし、40名が死亡した。新華社の発表ではこれは輸送機であるとされているものの、香港紙大公報の情報ではこれは南京軍区保有のKJ-2000であったとされている。しかし、他での報道とつき合わせて考えると、墜落したのはIl-76をもとにしたKJ-2000ではなく、Y-8輸送機をもとに開発されたKJ-200であるようである。墜落機とされる損傷した機体の写真も報道されている。もっともKJ-2000が墜落し、国家主席が哀悼の意を表明したとの説もある。
その後の続報では、KJ-2000AWACS は予定の4機が順調に就役しつつあり、むしろKJ-2000より独自設計色が強く、試験中だったKJ-200AEWの墜落だった可能性が一層濃厚である。Sinodefence等の報道ではY-8輸送機ベースのAEWはKJ-200(機体の上に平均台型アンテナ)とは全く別のデザイン(機体の上に皿型アンテナ)のAEWの試験が急遽浮上している。
ちなみにKJ-2000が2機という説の出元は[1]の中国版J-STARS試作機と混同したという可能性が指摘されている。
[編集] 関連項目
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