OECDモデル条約
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OECDモデル条約(オーイーシーディーモデルじょうやく)は、2国間において租税条約を新たに締結したり、既存の租税条約を改定する場合の雛型である。正式には、「所得と財産に対するモデル租税条約」(Model Tax Convention on Income and on Capital)という。
租税条約は、締約国の課税主権の譲歩を伴うと同時に、二国間の経済交流について問題となる国内法上の課税はいくつかに類型化できる。そこで、あらかじめ国際会議などであらかたの合意が得られた事項を雛型として準備し、かつ、文言の解釈についての技術的説明を公開しておくことで締結交渉が円滑となる。
もっとも、OECDモデル条約はOECD租税委員会が策定し閣僚理事会に報告された部内文書であるため、法的な拘束力はない。また、議論の場であるOECDの加盟国は、いわゆる先進国であるため、必ずしもその他の国の実情に配慮したものとはなっていない。このため、両締約国間の経済力に格差がある場合には、モデル条約を踏まえつつも、源泉地国の制限税率などに一定の調整を加えたりするときがある。
OECDモデル条約の内容については、継続的に議論が進められているため、1963年に草案が公表された後、1977年に正式に採択され、1992年にはルーズ・リーフ版へと大改正が行われ、その後は1994年、1995年、1997年、2000年、2003年と頻繁に改訂されている。