Quality of Service
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QoS (Quality of Service、サービス品質) とは、本来はコンピュータ・ネットワーク等におけるサービス、とくに通信サービスがどれだけニーズに合っているか、ユーザを満足させられるかという意味での品質を意味している。しかし、通常使われる文脈においては測定器等によって計測可能な性能に関する量を意味している。たとえば、通信の帯域速度、パケットの遅延時間やジッターの量、パケットの損失率などがそれである。通信サービスにおいて QoS を保証することを「QoS保証」という。
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[編集] QoS 保証の必要性
QoS 保証が必要になる最大の理由は輻輳 (congestion) である。ネットワーク・トラフィックの量が限られていれば、特別の工夫をしなくても QoS に関する問題はほとんどおこらないからである。輻湊を避けるため、電話網においては第 1 にアドミッション制御が行われる。すなわち QoS が保証できないときには新しいサービス要求を拒絶する。電話網においては第 2 に個々の呼 (call) を確立する際に、輻湊が起こらないルートを検索して使用する。一方、インターネットをはじめとする IPネットワークにおいては、従来、ネットワーク・レベルではこのような制御が行われなかった。そのため、IP ネットワークは緊急通信をはじめとする高信頼性が要求される通信用途に使用するのが困難だった。IP ネットワークの用途がひろがるにつれて、そこでも QoS 保証へのニーズが高まっている。
また、IP ネットワーク固有の要因として、近年しだいに QoS 保証を必要とするアプリケーションが増加してきていることがその必要性を高めている。すなわち、1990 年代にはいってからインターネット上でリアルタイム・アプリケーション (音声や動画) が使われるようになり、またビジネス向けの高品質なサービスも求められるようになってきた。また、データ通信が音声通信を量的に上回り、電話網に匹敵する品質をインターネットにおいて実現することが必要となってきている。これはインターネットからみた表現であるが、電話網の側からみればインターネットに匹敵する (あるいはそれ以上の) 柔軟さを新しい通信網すなわち NGN において実現することが目標となっている。
[編集] IP ネットワークにおける QoS 保証
インターネットの標準化は IETF (インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース) において進められているが、QoS に関しても IETF において次のような技術が標準化されている。
- IntServ (イントサーブ) - 個々の通信フローごとに QoS を保証するための技術あるいは枠組みである。
- DiffServ (ディフサーブ) - 複数の通信フローをまとめたサービスクラス (Class Of Service, CoS) ごとに QoS を保証するための技術あるいは枠組みである。
[編集] 解説
QoSは、他者と差別化し優先させることで安定したスループットや低遅延を実現している。
CoS の使い方としては、IP電話やビデオ会議(テレビ電話)といったリアルタイム系トラフィックを最優先。SNAといった遅延に弱い基幹系トラフィックや、重要度の高い業務系トラフィックを2番目に優先。電子メールやWebへのアクセス等遅延が生じても問題にならない情報系トラフィックを最も低い優先度とする。したがって、最低でも3段階は優先度設定できるようにしておいた方が良い。
[編集] 使用例
IP電話を使用する際に、トラフィックに影響されないように使用する事が多い。非常に高いリアルタイム性が必要とされるVoIPパケットを、回線の帯域を増やす事無く、他のパケットと差別する事によってIP電話の音質を高くする事が出来、コストパフォーマンスが良いからである。
[編集] 関連項目
- IntServ (イントサーブ)
- DiffServ (ディフサーブ)
- CoS
- ToS
- IP電話
- Resource reSerVation Protocol (リソース予約プロトコル)
- 帯域制御
- ポリシーベースQoS保証