SNG (放送)
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SNG (Satellite News Gathering) は、通信衛星を利用し撮影現場から放送局に映像を送信するテレビ取材の総称。日本国内から行うものも含む。
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[編集] 背景
ENG革命によりテレビ映像取材の主体がフィルムカメラからビデオ一体型テレビカメラによるに切り替わると、現場から放送局へのマイクロ波による中継や映像伝送が容易になってきた。これにより、テレビの機動性、速報性は格段と進歩した。この動きを加速したのが通信衛星を国内中継にも使うSNGである。
[編集] 地上波の中継と衛星中継
SNG以前の地上マイクロ波による中継や映像伝送は大変な労力のかかるものであった。マイクロ波は光のように直進する性質があるので、東京で言えば東京タワーのような中継基地の見えるような範囲でしか直接中継できなかった。基地が見えない場所から中継するためには中継基地の見渡せる場所(ビルや高台、山など見通しのいいところ)に文字通り「中継ぎの」中継基地を設けてマイクロ波を送らなければならなかった。
衛星は地上から見上げる角度が東京タワーなどよりはるかに高いので、高いビルなどの蔭ににならない限り、簡単にその方向にパラボラアンテナを向けることが出来るのである。また、遠距離や山間僻地などの中継の困難な場所でも簡単に中継、伝送が可能になるのである。
[編集] SNGの導入
SNGは、1980年代に入り、衛星通信に必要な地上局の設備の小型化が進み、従来巨大だったパラボラアンテナなどの機材が中継車に積めるようにになったことから誕生した取材形態である。 前述のENGすなわちビデオカメラで取材した映像を、赤道上空3万6千キロの通信衛星を介して、放送局に送ることが出来るようになり、ニュース取材をはじめとするテレビ取材は大幅に機動性を獲得するのである。 以前はアナログ波を使った運用は、ハーフトラポン方式を使った回線数の限られたものであったが、回線数の増強や機材の小型化、傍受対策などのため現在はデジタル化されている。