これより三役
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これより三役(これよりさんやく)とは、大相撲の千秋楽における結びの3番、すなわち最後の3つの取組のことである。
この3番を取る前には、まず東方力士3名が土俵に上がり扇の形をかたどった三角形に並んで3人揃って四股を踏む儀式が行われる。その次に西方力士3名が土俵に上がり逆扇の形をかたどった逆三角形に並んで3人揃って四股を踏む儀式が行われる。この儀式を「三役揃い踏み」という。
大相撲における番付上の三役とは、大関・関脇・小結のことをいうが、これより三役とは、あくまで最後3番の取組に出る力士を指すため横綱も含まれる。上位陣の人数や取組編成によっては、関脇・小結でも三役揃い踏みに出られない場合があるし、平幕力士でも三役揃い踏みに出ることもある。なお、休場者が出て不戦勝が生じる場合には、取組の順番を変更して必ず各3人を揃えて三役揃い踏みができるようにする。
これより三役の3番に勝った力士には、弓・矢に関するものが与えられる。最初の取組に勝った力士には、「小結にかなう」として矢が与えられる。その次の取組に勝った力士には、「関脇にかなう」として弓の弦が与えられる。結びの取組に勝った力士には、「大関にかなう」として弓が与えられる。現在では結びの取組みに勝った力士に代わり、弓取りの作法を心得た弓取力士が弓を受け取り、弓取式という儀式を行う。行司は勝ち力士に対して「役相撲にかなう、○○(勝った力士の四股名)」と呼び上げ、勝った力士は右手で左・右・中央の順番で手刀を切って行司から弓・矢に関するものを受け取る。
なお、「これより三役」の最多出場回数は、第67代横綱・武蔵丸光洋の58回である。最多勝利は大鵬幸喜の40勝、最多敗戦は北の湖敏満・北天佑勝彦の26敗である。また、琴富士孝也は、唯一の登場機会であった1991年9月場所、14日目の相撲で負傷し休場、不戦敗となったために、そろい踏みの機会を逸してしまった。