まじかるブリンガーころな
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『まじかるブリンガーころな』(通称:まじブリ)は、2005年に同人サークルさんだーぼるとが制作した同人ゲーム。およびそのシリーズ。続編に2006年制作『劇場版まじかるブリンガーころな ドキわく!魔界の夏休み』があり、『劇場版』『劇ブリ』などと呼ばれ区別される。旧作は18禁であったが、劇場版では一般向けに移行された。
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[編集] 概要
魔女っ子アニメを基調としたアドベンチャーゲームであり、作品の随所にそれを彷彿とする演出が見られる。また随所にパロディやマニアックな小ネタが盛り込まれているのも特徴。テキストを読み進めながら選択肢を選び物語を進めていくアドベンチャーパートと、「T2システム」と名づけられた独自の戦闘システムで行う戦闘パートに分かれている。続編である『劇場版まじかるブリンガーころな』にはクリア後の特典として、ダンジョンRPG『だんだんダンジョン大冒険』を追加するパッチが存在する。これはオマケ要素でありながらかなり本格的な完成度であり、本編よりもクリアするのに時間がかかる。
[編集] 制作スタッフ
- 企画・シナリオ・イラスト:insider
- プログラム:LDN
- 音楽:フルヤマ
- テーマソング制作:Hearts
[編集] ストーリー
[編集] まじかるブリンガーころな
主人公・佐倉頃奈は何をやってもダメな落ちこぼれ。時の流れるままにダラダラと過ごしていた。そんなある日、趣味でやっていた召喚実験にうっかり成功、一振りの剣を呼び出してしまう。魔法が使えるようになると聞き、大喜びで契約した頃奈。魔剣少女「まじかるブリンガーころな」の誕生であった。しかし、その剣は世界を斬り裂く程の破壊兵器。早速その翌日から魔王ベルゼビュートが剣を狙って襲来し、激しい争奪戦が勃発。正義の魔法少女からは悪人と勘違いされ、親友まで巻き込んでしまう大騒動に発展。はたして頃奈は剣を、友を守り、強大な魔王に勝つことができるのか…?
[編集] 劇場版まじかるブリンガーころな ドキわく!魔界の夏休み
魔剣争奪戦から1ヶ月後。町にはすっかり平和が戻り、頃奈は夏休みをいいことにダラダラと過ごしていた。魔剣の使い方も少し上達し、一緒に戦ってくれた親友とは相変わらず仲が良く、正義の魔法少女とも徐々に打ち解け、襲ってきた魔王ベルゼビュートですら今となっては同じ時を過ごす仲間。そんな平和のうちに夏休みが終わる予定だった。しかし、魔王の思いがけない一言がその予定を覆すことに。
「私の城へ来ないか?」
突然降って湧いた旅行の話に、頃奈は大喜びで承諾。前代未聞のベルゼビュート城ツアーが決行されることに。同行する友人たちにも、城で出会う悪魔たちにも、まさかこの旅行が人類の運命を左右する大事件に発展するとは、予想もできないまま…。
※旧作と劇場版の相違点
劇場版のストーリーは旧作の1ヵ月後という設定だが、旧作がマルチエンディング方式であり、劇場版のストーリーと必ずしも結びつかなかったり、魔剣の名前が「オシリス」に固定されるなど、多少の相違点がある。
[編集] ゲームシステム
様々なキャラクターとの戦闘をクリアし、会話を読み進めながら選択肢を選んでストーリーを進めていく。旧作ではマルチエンディング方式をとっている。劇場版ではベルゼビュート城内を歩く移動画面があり、一周クリアすると新たに隠しシナリオが出現。一周目での行動が隠しシナリオに反映される。
[編集] 戦闘システム
旧作では「T2システム」、続編では「T2-NEO」と呼ばれる独自の戦闘システムを採用している。基本的には流れてくる矢印型のカーソルにあわせてタイミングよくキーボードの矢印キーを押していくという、いわゆる音ゲーのようなシステムだが、音楽にあわせて押すわけではないので若干異なる。またカーソルは、キャラクターの特性や必殺技などによって、高速で流れてきたり、重なっていたりとパターンも多種多様である
イニシアチブラウンド
カーソルをタイミングよく押すとゲージが溜まっていき、これが満タンになると攻撃に移行できる。敵も同じようにゲージが溜まっていき、満タンになると敵の攻撃となる。キャラクターによって素早さが異なるため、ミスをしなければ確実に先手を取れるという保証はない。劇場版ではさらに当たり判定があり、よりタイミングよく押すことでゲージの上昇が速くなる。
アタックラウンド(ガードラウンド)
攻撃して相手にダメージを与える。敵の攻撃の場合はガードラウンドとなる。劇場版では当たり判定があり、タイミングが与えるダメージやスキル「強撃」(後述)に対する防御力に影響する。
スペシャルラウンド
アタックラウンドの特殊な形であり、威力の高い必殺技で攻撃することができる。旧作ではこのラウンドへの移行はほとんど運任せであったが、劇場版ではエネルギーゲージを採用し、これによってある程度プレイヤーの意思で必殺技を繰り出すことが可能になった。なお敵のスペシャルラウンドへ移行するタイミングはランダムである。
ヒットゲージ
相手に攻撃を当てることで溜まっていき、これが溜まっている時に、矢印に混じって流れてくるエンターキーのカーソルを押すと、ゲージが溜まっている分大ダメージを与えることができる。ただし、一回攻撃をはずすとゼロに戻ってしまうため初心者がうまく使うことは難しい。このゲージがかなり多く溜まっていると、稀にスペシャルラウンドでエンターキー一発のみの攻撃が発動する。敵もエンターキーの攻撃を仕掛けてくるが、ヒットゲージは持たない。劇場版ではヒットゲージの代わりにエネルギーゲージが採用された。
必殺技
キャラクター各々に設定されており、威力に応じてレベル3まで存在する。敵キャラクターの使用する必殺技は、ストーリー前半では容易に避けられることもあるが、後半になると初心者では全て避けきることは愚か、一発も避けられないような攻撃を仕掛けてくることも少なくない。以下にあげたものは必殺技の一例。
ころなデスペラード
ころなレベル1の必殺技。威力の高い打撃十二連続攻撃。ヒット数とエネルギーゲージが上昇するオーソドックスな技。
ヴォルティックブレード
昴レベル2の必殺技。約半分の確率で判定ポイント手前でカーソルが右側から来るようになる。(劇場版でプレイヤーが使う場合はレベル1で「ころなデスペラード」と同等)
BLOODY SLASH(ブラッディスラッシュ)
クロウが使用するレベル1の必殺技。スキル「吸収」により、防御に失敗すると回復されてしまう。
さらに、プレイヤーの魔女っ子レベル(後述)が高いと、カーソルが判定ポイント直前に透明になる。
ミッドナイトレイヴ
クロウの「DARKNESS MIST」(視界が悪化&カーソルが黒くなる)とニャルの「ダブルファングスライサー」(2つのカーソルが連なって流れてくる)を同時に仕掛ける必殺技。魔女っ子レベル(後述)が高いと「ダブルファングスライサー」の代わりに「インビジブルトルネード」(カーソルが判定ポイント手前から現れるスキル「死角」を付加する)と組み合わせた「MIDNIGHT EXECUTION」を使ってくる。
大罪シン・オブ・エンヴィ
レヴィアレベル2(?)の必殺技。通常のカーソルが1個だけ向かってくるように見えるが、実際には数個の同じ方向のカーソルが重なり合った状態であり、それらを全て捌ききらないと大ダメージを受けてしまう。初見で見切れる人はまずいないと思われる。
スキル
戦闘中のキャラ及びその必殺技には特殊なスキルがついていることがある。以下、主なスキルを挙げる。
攻×2、防×2
それぞれ攻撃力と防御力が2倍になる。
速×2
イニシアチブゲージの溜まり方が2倍(旧作では1.5倍という説有り)になる。主にプレアが所持。
強撃
防御側が防御に成功してもダメージの一部が貫通する。劇場版での「CRITICAL」判定でのみダメージをゼロにできる。ノエルの「TEMΠEΣT」等。
吸収
攻撃に成功すると自分の体力が回復する。クロウの「BLOODY SLASH」等。
ころなサヴァイヴァー
戦闘に破れた場合、敵の能力を下げてコンテニューできるシステム。これを使うと敵の攻撃力やスピードが下がり攻略が容易になる代わりに、使えば使うだけ魔女っ子レベル(後述)が下がってしまう。なお、使わないまま再挑戦できるのは2回までで、それを超えると強制的に使用される。
[編集] 魔女っ子レベル
ゲームをクリアした時点で知ることができる。「ころなサヴァイヴァー」を多用したり、ダメージを多く受けると下がっていき、最高レベル(ほぼノーダメージクリア)は100。高レベルでクリアするとフリーバトルモードで使用できるキャラクターが増える。
[編集] フリーバトルモード
一回クリアすると新たにプレイできるモードで、戦闘のみをプレイすることができる。ストーリー上有り得ない組み合わせでの戦闘が可能。高い魔女っ子レベルでゲームをクリアすることで使用可能なキャラクターが増えていく。
[編集] 劇場版からの新要素
当たり判定
カーソルを押したタイミングを4段階で判定している。よりタイミングよく押すことでイニシアチブゲージの溜まり方を速くしたり、攻撃ダメージを上乗せしたりできる。
エネルギーゲージ
旧作のヒットゲージに相当するが、ミスしてもゼロに戻ることはない(但し、ゲージの溜まり方は遅くなる)。攻撃をヒットさせることで溜まっていき、一定以上溜まった状態でアタックラウンドを迎えると必殺技が発動する。また1レベル以上溜めると、任意のタイミングでクイックバーストを発動させることができる。なお、敵には存在しない。
クイックバースト
エネルギーゲージが1レベル以上ある状態ならば、エンターキーを押すことで一気にイニシアチブゲージを満タンにすることができる。ゲージを1レベル分消費するかわりにカウンター攻撃が可能。発動させた時に1レベル以上ゲージが残っている場合は、レベルに応じた必殺技を使って攻撃できる。
[編集] だんだんダンジョン大冒険
劇場版クリア後のおまけで、全9階層に及ぶ本格的な3DダンジョンRPG。ベルゼビュート城の地下迷宮が舞台。各階には様々な謎解き要素が仕掛けられていて、仲間になるキャラクターが1人ずつボスとして配置されている。個性豊かな敵モンスターや、なぜか置いてある自動販売機、マニアックなアイテム等、このゲーム独特のセンスが楽しめる。
[編集] 主な登場人物
佐倉頃奈(さくらころな)
黒き魔剣と契約し魔法少女まじかるブリンガーころなとなった主人公。あまり物事を深く考えず、純粋無垢な性格。甘いものが好き。しかし、食べたものは(胸を含め)何処にも使われていない。必殺技のネーミングには独特のセンスが垣間見える。考古学者の父が海外出張中のため、現在は母と二人暮し。
- まじかるブリンガーころな
- 頃奈が「マジカルインディペンデンス」の掛け声とともに変身した姿。とはいえ、衣装を変えても能力に変化はないし、それをするための掛け声も必要ない。魔法少女を夢見てきた頃奈の自己満足である。オシリスと契約したことにより、剣術を身に着けている。
黒き魔剣
頃奈によって現世に召還された伝説の魔剣。一万年前に作られたオーパーツであり、「バルムンク」「ストームブリンガー」等の名称で様々な猛者と戦いを共にしてきた。作中では若本規夫のような声であると表現されているが、キャラクターボイスは無い。旧作では名前をつけることができたが、劇場版ではオシリスという名前に固定された。頃奈とは対照的に甘いものが苦手。名前の由来はエジプト神話のオシリス……ではなく、頃奈が昔飼っていた犬の名前。
良海昴(よしうみすばる)
頃奈が通う学校の後輩。高速で空を飛び、雷を操る魔法少女ライトニングエンジェル・プレアとして、町の平和を守っている。頭脳明晰、スポーツ万能、家事も一通りこなし、何でも1人で解決する完璧主義者。その性格と過去に負った心の傷から、真に心を許せる友達がいなかった。真っ直ぐな瞳の中には正義の闘志が燃えている。旧作の感動的なエンディングやツンデレな性格で人気を博している。そして、劇場版では…。
天乃川由香(あまのがわゆか)
頃奈の幼馴染でクラスメイト。町の高台にある神社の一人娘であり、巫女として御神体の「神器」を受け継いでいる。世話好きだが、頃奈ほどおせっかいでもなく、少しだけ手助けして見守るタイプ。昴が信用する数少ない人物でもあり、何かと相談に乗ることも。
ノエル・ディ・ベルゼビュート
黒き魔剣を我が物にするために魔界から人間界にやってきた魔王ベルゼビュートの当代。魔族としては幼く子供のような外見をしているが、頃奈たちの5倍近く生きている。生まれながらに持った魔力は圧倒的に高く、冷酷な破壊者として魔界でも恐れられている。頃奈と契約した黒き魔剣を狙って、部下と共に人間界にやってきた。
ニャルラトテップ
ノエルに仕える格闘ファイター。通称「ニャル」。リカントという猫型の獣人。ノエルですらどうにもならない程の気分屋で、予想がつかない行動を取ることから「這い寄る混沌」の通り名を得ている。回復能力に特化していて、どんなダメージを受けてもすぐに復活する。豪快で、明るく笑い、情けに厚い。語尾に「にゃ」を付けるのが特徴。名前の由来はクトゥルフ神話のニャルラトテップ。
クロウ・クルーワッハ
ベルゼビュート城に仕える騎士長。ノエルに対する忠誠心は絶対である。ヘルハウンドという犬型の獣人で、この種族としては珍しく魔法に長けている。得意なのは暗黒魔法。戦闘能力が非常に高く、武器として召喚する大鎌で相手の生命力を吸い取ることから「血塗られた三日月」の通り名を持っている。無口で冷酷な武人だが、腐れ縁のニャルにからかわれると感情を出すことも。名前の由来はケルト神話のクロウ・クルワッハ。
コバヤシ
頃奈行きつけのクレープ屋の店主。超常現象やオカルトなどに精通しており、頃奈の数少ない理解者である。某マンガの主人公に酷似しており、「な、なんだってーっ!」などと叫ぶ。
佐倉美月(さくらみづき)
頃奈の母で専業主婦。父親は海外を飛び回っているため、女手ひとつで頃奈を育ててきた。趣味はB級ホラー映画鑑賞。娘と違って体型は…。
良海暁(よしうみあきら)
昴の叔父で大学の助教授。昴より10歳年上という若さで、イケメン。昴にとって最大の理解者。
[編集] 劇場版にのみ登場するキャラクター
ライム
ベルゼビュート城のメイド長。清掃、洗濯、料理、庭の手入れなど、城内の生活面を任されている。種族はヴァンパイア。天井からぶら下がって行動している(重力を操る能力を持っているのでスカートが捲れたりはしない)。性格は明るく丁寧。それとなく悪魔的に上品。メイドとしては完璧すぎるほど完璧で、主人が指示を出す前に仕事をこなしてしまう。名前の由来はソロモン72柱のラウム。
ベリス
悪戯好きの小悪魔。あまりにも悪戯が酷いので、ベルゼビュート城から出してもらえない。どうやらノエルよりも年少らしく、見た目どおり我侭で自由奔放な子供。小悪魔と呼ばれることを嫌って自らを堕天使だと言い張り、空を飛ぶときは背中から黒い翼を展開する。機械が大好きで、コンピューターゲームに関しては「悪魔の如き」強さを発揮する。
セルファリーナ・ディ・レヴィアタン
大海原の魔王。レヴィアタン家の当主。魔王というよりも神獣に近い存在。自分の長い名前が気に入らないのか、周囲に「レヴィア」の略称で呼ばせている。無口な性格であり、たまに口を開いたと思ったらわけのわからない言動で周囲を困惑させる。「ん…」という独特の口調で話す。
[編集] 音楽
ゲームの背景は魔女っ子アニメ風でありながら、戦闘パートのBGMがかなり豊富で、主にハードロック・ヘヴィメタルを基調としているのが特徴。BGM、テーマソング共に非常にメロディアスで印象的な作風がファンから高い支持を得ており、サウンドトラックも発売されている。シリーズの全BGMをフルヤマが、オープニングテーマ、エンディングテーマはHeartsが手がけている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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