ゆうメイト
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ゆうメイト(ゆうめいと)とは、郵便局や貯金・簡易保険事務センター等、日本郵政公社に勤める非常勤職員(アルバイト・パートタイマー)の通称。
以前は主に年末年始にのみ雇用する場合が多かったのだが、本務者(正職員)の採用抑制や人員削減などによって近年ではゆうメイトの採用が増えており、長時間・長期間にわたって勤務する非常勤職員も多い。身分は2007年3月現在、「非常勤職員の国家公務員」である。
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[編集] 歴史
- 1949年 行政機関職員定員法(昭和24年5月31日法律第126号)公布。非常勤職員を採用。
- 1960年 旧郵政省、非常勤任用規定を策定。
- 1961年 2月28日「定員外職員の常勤化の防止について」を閣議で決定する。これを受けて、人事院規則などで、非常勤職員の任用についての法制化。
- 1990年頃から「ゆうメイト」という呼称を制定。
- 2006年現在、郵政には16万人以上のゆうメイトが雇用されているといわれている。
[編集] 職務内容
大まかに分けて内務と外務がある。仕事内容は正職員と大きくは変わらないが、ゆうメイトは勤務時間が比較的短い。内務は郵便課に、外務は集配営業課に配属されることが多い。
- 内務
- 窓口 - 郵便物の差し出し、保管郵便物の受け渡し、郵便貯金の取り扱い、など郵便局の窓口で来客の応対をする。
- 区分 - 郵便ポストや窓口で差し出された郵便物を差し立てたり、区分機にかけて集配営業課に交付したりする。
- 計画 - 電話応対や一般事務などを担当する。
- 外務
- 通配 - 通常郵便物を配達順に並べ(道順組立)、配達する。JPSの2ネット化により、ゆうメイトに書留類を配達させない局もある。
- 混合(速達) - 速達や小包を主に配達する。客から依頼のあった再配達郵便物の配達もする。
- 集荷 - 顧客の元まで郵便物を引き取りにいく。
- 年末年始
- 年賀状の配達、郵便物の区分をする短期間のアルバイトである。外務の場合は、主に通常郵便物のみを配り、組立は行わない。書留や薄型小包の配達も原則として行わない。
内務の場合は、年賀状の区分が主である。 冬休みに入った高校生が主に仕事を行う。
[編集] 職務環境
勤務時間や雇用期間など、一定条件を満たせば雇用保険、厚生年金保険、社会保険に加入可能。
また、条件を満たせば、有給休暇も取得でき、少ないながらも賞与が出る。昇給は、年功序列ではなく能力給によって決まる。内務よりも外務のほうが平均して100円ほど時給が高い。
何年間も同じ郵便局・同じ班に在籍し、「人事交流」や昇格による配転が多い正職員よりも現場の仕事を熟知しているゆうメイトもいる。最近では、正職員の定年退職後の再雇用でゆうメイトになるケースも多い。
[編集] 問題点
- 雇用不安定
- 非常勤職員という身分のため、契約期間終了となった場合、任期が1日であるため即日解雇されてしまう可能性がある。また、予定雇用期間を過ぎれば、再雇用の意思表示がない限り退職となる。郵便局は法律上は解雇予告の義務はない為、1ヶ月前に解雇予告をされなかったからといって解雇予告手当てを受け取ることはできない。
- 年度末においては一時的に退職扱いとし、1日以上空白期間を設け再雇用としている。その為、3月分の給料からは社会保険料は徴収されず、無保険診療や、年金の未納の問題がある。また、雇用保険については、予定雇用期間の満了による退職で解雇にあたらないため、特定受給資格者にはならない。そのため、給付制限はないが、受給期間は延長されない(90日間しか受け取れない場合が多い)。
- 賃金格差
- 地域によって時給にばらつきがある。北海道などは時給660円(外務は740円)で、また深夜勤務がほぼない反面、都市部では外務の時給が1000円を超えることも少なくない上に深夜勤務を募集している郵便局が多い。深夜割増は30%~50%と局によってかなり差があるものの、初任給の時給の最低は660円最高は1300円以上と、2倍近い格差になることもある。これは賃金体系に地域格差(調整手当)を導入しており、それに倣っている。また、交通費が給料に加算されるため、格差はさらに拡大することになる。
- 最初のうちは、常勤職員と同じ勤務時間を働いていれば、常勤職員(初任給クラス)と同等の給料をもらうケースが深夜勤担当などに一部見られる。しかし、ゆうメイトの賃金上昇には全ての職種において限度が設けられている為、一時的なもので増加することは無い。賃金上昇そのものも、郵政事業を取り巻く環境の変化や、ゆうメイトの職務遂行能力を評価判断する正職員によって左右されてしまう。また、時給が上がってしまったために勤務日数を削減されてしまうといった問題も起こっている。
- モラルの低下
- 常勤職員との待遇・処遇の差や教育不足などにより、モラルの低下や労働意欲の喪失等を起こすゆうメイトも居た。その為、郵便物の遺棄や搾取といった問題が起こり、郵便事業への信用問題へとつながる事態となった。
[編集] 民営化の影響
2007年10月1日に日本郵政公社は民営化される。民営化後に「ゆうメイト」の名称の使用を続けるかどうかは不明である。また、現在雇用されているゆうメイトの今後についても公的な発表は無い。ただ、現在の状況からゆうメイトの雇用無しには業務をおこなうことが困難なため、非常勤職員(アルバイト)としての雇用は予想される。