アイリーン・アドラー
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アイリーン・アドラー(Irene Adler)はシャーロック・ホームズシリーズの登場人物。 主人公ホームズを出し抜いた数少ない一人であり、読者の人気も高い。
1846年、イギリス領ザンジバル生まれ。インドで幼少期を過ごし、その後イギリス本土へ渡り、ロンドン・「ブライオニ荘」に住む。オペラ歌手であり、スカラ座出演。 ワルシャワ王室にいた時、ボヘミア国王(当時は皇太子)と関係を結び、彼を強請る。後に弁護士、ゴドフリー・ノートンと結婚し(ホームズは、彼らの結婚立会人をつとめる羽目になった。この時に貰った金貨をホームズは大切に取っている)、ヨーロッパを離れる。ホームズはいつも「あの女(ひと)」と呼ぶ。「最後の挨拶」の時点では既に亡くなっているようだ。
[編集] パスティーシュ作品など
ホームズシリーズの短編第1作に登場し、ホームズと読者に消しがたい印象を残して去ったアイリーンは、多くのシャーロキアンによってその研究の俎上にのせられることになった。
もっとも大胆な仮説のひとつとして、彼女はほかならぬベーカー街221Bの女主人であるハドスン夫人と同一人物ではないか、というものがある。彼女の登場する「ボヘミアの醜聞」では、なぜか下宿の女主人はターナー夫人であったことから、その様な推測が生まれた。
それは極論として、ホームズが自他ともに認める女嫌いの性癖にもかかわらず、ボヘミア王からいかなる報酬よりも彼女の写真を望んだほど心を動かされた「唯一の女性」との間に、なんらかのロマンスを描きたい衝動を、後世の多くの作家たちが禁じえなかったのは確かである。幸いにして、アイリーンとゴドフリー・ノートンとの結婚は、ホームズがそう語っているだけで、ワトスンが自ら目撃したものではなかった。例えば、あのジェームズ・モリアーティ教授の実在をいくらでも疑えるのと同じように、パスティーシュ作家たちは彼女について自由に想像意欲を満たすことが出来た。
W・S・ベアリング=グールドによる仮想ホームズ伝「シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯」では、アイリーンはホームズとの間に男児をもうけたことになっている。彼はやがて長じて父親と同じ職業につき、ネロ・ウルフの仮名で活動した、とグールドは主張するのだが、レックス・スタウトはこれを否定しなかった。