ハドスン夫人
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ハドスン夫人(ハドスンふじん・Mrs.Hudson)は、シャーロック・ホームズシリーズの登場人物で、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの、有名なベーカー街221Bの下宿の女主人。
フルネームは不明だが、一部のシャーロキアンによって『最後の挨拶』で重要な役割を果たす家政婦のマーサは彼女と同一人物だと信じられており、「マーサ・ハドスン」と呼ばれることもある。また、『ボヘミアの醜聞』では、下宿の女主人はなぜか、「ターナー夫人」と呼ばれており、多くのシャーロキアンを長年悩ませる難問ともなっている。
全60編のホームズものの中で、彼女自身が事件の当事者となったことはない。しかし彼女は自宅の2階に住まう、偉大だが風変わりで、「夕食はいつにしましょう?」と聞けば、「あさっての7時半だ」と答える(『マザリンの宝石』)ような下宿人に根気強く献身的に奉仕した。彼女は長年にわたって、難問を抱えた依頼人たちや、もっと物騒な動機を携えた来客が、時間を問わずに押しかけてくるのに耐えなくてはならなかった。
ホームズはその有名な女嫌いの性癖とは別に、女性に対する態度は誠実で紳士的であったので、ハドスン夫人もこの迷惑きわまる下宿人を尊敬し、好きでもあった。『空き家の冒険』で、狙撃の危険もかえりみず、ホームズに似せた蝋人形を動かす仕事を受け持つなど、時にはホームズのために重要な役割を果たしている。また、『瀕死の探偵』ではホームズの病状をワトソンに伝えている(そう仕向ける事がホームズの狙いだったのだが)。
ハドスン夫人の料理の腕前は、ホームズによれば「[[バラエティにはやや欠けるが、朝食に関してはスコットランド人はだし」(『海軍条約文書事件』)だった。
[編集] パスティーシュ作品におけるハドスン夫人
女性登場人物としては、アイリーン・アドラーと並んで、シャーロキアンに重要視されるハドスン夫人だが、ホームズとのかかわり以外では、その来歴や私生活は、原作では多くを語られていない。その点がまた、シャーロキアンの想像をたくましくさせても来た。
もっとも大胆な推理は、ハドスン夫人は実はホームズの恋人であって、その本名はアイリーン・アドラーだった、とするものである。これは上述のターナー夫人の謎を合理的に解決する仮説ではある。
日伊合作のテレビアニメ「名探偵ホームズ」では、最初期の航空機パイロットであった夫を事故で失った、若き未亡人として描かれた。ワトスンを助手席にしたがえて自動車で疾走し、ハンドルを操りつつリボルバー(オートマチックはジョン・ブローニング以後である)で航空機を狙撃する、おそらくはもっとも活動的なハドスン夫人が描かれた作品でもある。また、かのモリアーティ教授に人質に取られながら、ホームズに対するのと同様の献身的奉仕をほどこして、教授といくばくかの心の交流を結ぶなどしている。こちらではファーストネームも“マリー”と設定されている。