アクリジン
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アクリジン | |
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IUPAC名 | アクリジン |
分子式 | C13H9N |
分子量 | 179.2 g/mol |
CAS登録番号 | [260-94-6] |
形状 | 無色針状結晶 |
融点 | 107 °C |
沸点 | 346 °C |
SMILES | C1(N=C(C=CC=C2)C2=C3) =C3C=CC=C1 |
アクリジン (acridine) は化学式 C13H9N で表される環状有機窒素化合物である。広義の定義としては、C13Nの3つの隣り合った六員環のことを指す。
アントラセンの1つの炭素が窒素に置換した構造を持っている。色素や他の化合物の原料となる。プロフラビンなどアクリジン誘導体の多くは殺菌作用を持っている。アクリジンやその誘導体はDNAやRNAにインターカレートし、結合することができる。アクリジンオレンジ(3,6-ジメチルアミノアクリジン)は核酸を選択的に染色する。
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[編集] 歴史
1890年にカール・グラーベ (Carl Gräbe) とハインリッヒ・カロ (Heinrich Caro) によってコールタールの中から初めて単離された[要出典]。
[編集] 生産
コールタール中に存在する。コールタールから希硫酸で抽出後、重クロム酸カリウムを加えると重クロムとアクリジンが混合物となった沈殿が得られる。その後アンモニアで重クロムを分解するとアクリジンが得られる。
誘導体の合成法も多数知られている。A. Bernthsenは塩化亜鉛の存在下でジフェニルアミンとカルボン酸を縮合させると、アクリジンが得られることを発見した(Bernthsenアクリジン合成)。カルボン酸としてギ酸を用いるとアクリジンが得られ、より炭素鎖の長いカルボン酸を用いるとメソ位の炭素に置換基が導入されたアクリジンが得られる。
他の古典的な合成法としては、
- 塩化アルミニウムの存在下でジフェニルアミンとクロロホルムを縮合させてオルトアミノジフェニルメタンを生成させ、この蒸気を加熱した一酸化鉛と接触させる
- サリチルアルデヒドとアニリンを塩化亜鉛の存在下で260度に加熱する
- アクリドン(9位がカルボニル基を持つアクリジン)を亜鉛粉末の存在下で蒸留する
などが挙げられる。
最も一般的な方法としては、N-フェニルアントラニル酸や2-(フェニルアミノ)安息香酸をリン酸存在下で環化するというものが挙げられる。
アクリドン誘導体を合成する古典的な方法として、Lehmstedt-Tanasescu反応が知られている。
[編集] 物理的性質
アクリジンやその誘導体は安定であり、やや塩基性を持っている。アクリジンのpKaは5.6であるが、この値はピリジンと似ている。またベンゼン環が1つ減少したキノリンとも性質が似ている。アクリジンは針状結晶となり易いが、これは110℃で融解する。肌に対して刺激性がある。塩溶液は青色の蛍光を持つことで知られている。
[編集] 化学的性質
アクリジンはヨウ化アルキルとヨウ化アルキル塩を生成するが、これはフェリシアン化カリウムなどの塩基存在下で容易に反応してN-アルキルアクリドンを生成する。過マンガン酸カリウムで酸化するとアクリジン酸C9H5N(COOH)2やキノリン-1,2-ジカルボン酸が生成する。またアクリジンはペルオキソ一硫酸により容易に酸化され、アクリジンアミンオキシドを生成する。また9位の炭素は反応性が高く、付加反応が起こりやすい。
[編集] 安全性
発がん性物質として知られている。その作用機序は、アクリジン分子がDNAの塩基対間にはさまり、DNAが複製される際に塩基対の挿入もしくは欠損が生じることが原因と考えられる。もちろんそのような誤認識の確率はきわめて低いが、複製ミスの確率を上昇させることは確かであろう。
[編集] 参考文献
- Synthesis of acridone in Organic Syntheses 19:6; Coll. Vol. 2:15 [1] from o-chlorobenzoic acid and aniline in a Goldberg reaction.
- Synthesis of 9-aminoacridine in Organic Syntheses 22:5; Coll. Vol. 3:53. [2] from N-phenylanthranilic acid.
- Synthesis of Acridine-based DNA Bis-intercalating Agents Gerard P. Moloney, David P. Kelly, P. Mack Molecules 2001, 6, 230-243 [3]
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