フェリシアン化カリウム
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フェリシアン化カリウム | |
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IUPAC名 | ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム |
別名 | 赤血塩 プルシアンレッド |
組成式 | K3[Fe(CN)6], C6FeK3N6 |
式量 | 329.24 g/mol |
形状 | 赤色結晶性粉末 |
結晶構造 | 単斜晶系 |
CAS登録番号 | 13746-66-2 |
密度と相 | 1.89 g/cm3, 固体 |
水への溶解度 | 46 g/100 mL (? ℃) |
融点 | ℃ |
沸点 | ℃ |
出典 | ICSC |
フェリシアン化カリウム(—か—)はヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム(—てつ さん さん—)、赤血塩(せっけつえん)とも呼ばれる無機化合物で、錯塩の一種。組成式は K3[Fe(CN)6]。赤色の結晶または粉末である。水に良く溶け、水溶液は黄緑色の蛍光をいくぶん示す。フェロシアン化カリウムの溶液に塩素ガスを通じると得られる。
鉄イオンの検出等に用いる。2価の鉄イオンを含む溶液に加えると濃青色沈殿を生じ、3価の鉄イオンの溶液に加えると溶液が褐色になる。
青写真や写真の作成に広く利用され、鉄や銅による調色の際に使われる。ドットエッチングと呼ばれる過程で陰影の部分から銀を取り除く酸化剤として用いられる。カラー写真の作成においては、ドットの数を減らさずにドットの径を小さくさせ、色の補正を行うのに使われる。他の用途として鉄や鋼の熱処理、電気メッキ、ウールの染色、化学実験試薬が挙げられ、有機化学では穏やかな酸化剤として使われる。チオ硫酸ナトリウム(ハイポ)との混合物は「ファーマーの減力液 (Farmar's reducer)」として知られ、ネガの密度を減らすのに利用される。ファーマーの減力液のバリエーションは反転写真作成の中間段階において、1回目の現像で得られた銀塩画像を消すのに用いられることがある。
生理学の実験では酸化還元電位を増加させる目的にしばしば使われる(pH 7 で E0' はおよそ +436 ミリボルト)。その場合、普通は亜ジチオン酸ナトリウムが還元剤として使われる(pH 7 で E0' はおよそ −420 ミリボルト)。
[編集] 関連項目
- 紺青
- フェロシアン化カリウム