アリマタヤのヨセフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アリマタヤのヨセフ(アリマフェヤの義人イオシフ)は、新約聖書に登場するユダヤ人、イエスの遺体を引き取ったことで知られる。
すべての福音書にはアリマタヤ出身のヨセフなる人物がピラトに願い出て、イエスの遺体をひきとって埋葬したことが記述されている。彼がどんな人であったかは福音書によって異なっており、マタイは「金持ちでイエスの弟子」(マタイ27:57)といい、マルコは「身分の高い議員」(マルコ15:43)、ルカは「神の国を待ち望んでいた」「善良でただしい人」(ルカ23:50-51)、ヨハネは「イエスの弟子でありながらユダヤ人を恐れてそのことを隠していた」(ヨハネ19:38)人物としている。
いずれにせよ、弟子すらも逃げ出した状況で、あえてアリマタヤのヨセフがイエスの遺体の引取りを申し出たということは四福音が一致して記しているところである。イエスは彼によって墓(この時代は洞窟)に亜麻布で巻かれ、香料と共に葬られた。
中世の伝承では、聖杯伝説と結び付けられ、彼が十字架のもとでイエスの血を受けた聖杯を持ってイギリスに渡ったとされていた。
キリスト教の聖人であり、東方正教会では7月31日、カトリック教会では3月17日に祝われている。