アレス
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アレス(アレース、アーレース、Άρης, Arēs)は、ギリシア神話に登場する神で、戦さを司る。ゼウスとヘラの子とされる。オリュンポス十二神の一柱。アイオリス方言ではアレウス (’Άρευς, Areus) とも。
本来は戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神と言うより荒ぶる神として畏怖された。神話でもときにディオメデスなど人間に敗北することもあり、戦争に必要な計略を表すアテナに対して、戦場での狂乱と破壊の側面を現わす。「城壁の破壊者」の二つ名がある。
ヘパイストスの妻であるアプロディテを恋人とし、ポボス(フォボス、敗走)とデイモス(恐慌)の兄弟、娘ハルモニアの父となった。エロスをアレスとアプロディテの子に加える説もあるが、これは元々関係の無かったアプロディテとエロスを関連付けるために作られたものである。他にも、アマゾンをはじめとする多くの蛮族の父である。
また、エリスやエニュオも彼の従者であり一般的には妹とされているが、姉や妻とされることも多く、また特にエニュオは母や娘とされていることもある。
ローマ神話のマルスに相当し、また火星と同一視される。このため火星と同様に赤く輝く天体であるさそり座の主星はアンタレス(アンチ・アレス、アレスに対抗する者の意)と呼ばれている。火星の衛星フォボスとデイモスはアレスの子の名から採られている。