アンドロメダ銀河
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アンドロメダ銀河 (Andromeda Galaxy) | |
![]() M31: アンドロメダ銀河 |
|
星座 | アンドロメダ座 |
観測データ | |
型 | SAb |
赤経 (RA, α) | 00 h 42.7 m (J2000,00) |
赤緯 (Dec, δ) | +41° 16' (J2000,00) |
距離 | 230万 光年 |
視等級 | +4.3 |
視直径 | 178' × 63' |
物理的性質 | |
直径 | 13万 光年 |
色 (B-V) | _ |
絶対等級 | -21.4 |
特性 | _ |
その他の名称 | |
![]() |
アンドロメダ銀河(M31またはNGC224として知られる)は、アンドロメダ座に位置する目視で確認可能な渦巻銀河。銀河系、大マゼラン銀河などとともに局部銀河群を構成する。
地球から230万光年の距離に位置し、質量は銀河系の1.5倍程度とされる。直径は約13万光年であり、直径10万光年の銀河系よりもやや大きい。かつては、アンドロメダ星雲、アンドロメダ大星雲などとも呼ばれていた。
見かけは、一時期銀河系と似ていると云われていたが、バルジに2つの巨大ブラックホールが存在し、連星系を成しており、中心部のガスが銀河系のバルジと比べて非常に少ない事が判って来た。 これは、伴銀河が数十億年前にアンドロメダ銀河に飲み込まれ、巨大ブラックホールの連星系が誕生し、その周りのガスを喰らい尽くしたものと見られる。
アンドロメダ銀河は、肉眼でも観測することが出来るため、964年には既に、アブド・アル・ラフマン・アル・スーフィーによって"小さな雲"と記述されている。 望遠鏡による観測はドイツの天文学者シモン・マリウス (Simon Marius, 1573-1624)が1612年に行ったのが初めてとされる。シモン・マリウスは、しばしば誤ってアンドロメダ銀河の発見者として紹介されることがある。
アンドロメダ銀河の周囲には伴銀河としてM32、M110 (NGC205)が観測できる(図1)。これらの伴銀河はいずれアンドロメダ銀河と衝突し吸収されてしまうと考えられている。
また、1980年代の古典的な観測方法によると銀河系とアンドロメダ銀河は時速300km/hで互いに接近しあっており、30億年後には2つの銀河は衝突して融合し、一つの巨大な楕円銀河を形成すると予想されていた。
しかし、1990年代後半、宇宙の膨張速度が加速度的に増加していることが確認されて以来、この予測は否定されている。銀河系及びアンドロメダ星雲が引き合う力は、まだ総量が確定されていないダークマターの質量を含めても、宇宙の膨張による離間速度差を埋めるまで至らず、ある程度の距離を置いたままの安定的な系を成すと考えられている。さらに、両星雲が属する銀河団も、ある程度の安定した系を成し、宇宙の膨張に準じて銀河団と銀河団の空間が大きくなり、銀河団として孤立した空間になるものと予測されている。
[編集] 球状星団G1
アンドロメダの近傍には銀河の他にも多数の星団も観測され、その中で最大のものはアンドロメダ銀河の周囲を巡っている球状星団G1である(図1右下、図2)。Mayall IIの名称でも知られるG1は、アンドロメダ銀河の中心から13万光年の距離にあり、宇宙の始まりから比較的早い時期に誕生した古い星々が数10万個以上集まって構成されていると考えられている。局部銀河群の中ではおそらく最も明るい球状星団であり、地球から観測した見かけの等級は13等級である。天の川銀河で最も明るいオメガ星団(NGC 5139、視等級3.7)よりも明るい。
2002年のハッブル宇宙望遠鏡の観測では、太陽の約2万倍の質量を持つブラックホールがG1とM15の中心に存在している可能性が示唆された。 (参考:HubbleSite)