アーバレスト
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ARX-7 アーバレストは、賀東招二の小説『フルメタル・パニック!』に登場する、ラムダ・ドライバ搭載の最新型アーム・スレイブ。
アーバレスト | |
型式番号 | ARX-7 |
設計者 | バニ・モラウタ |
生産形態 | ラムダ・ドライバ実験機 |
全高 | 8.5m |
重量 | 9.8t |
動力源 | パラジウムリアクター ロス&ハンブルトンAPR2500c |
最大作戦行動時間 | 100時間 |
最高自走速度 | 不明 |
最高跳躍高 | 不明 |
固定武装 | AM11 12.7mmチェーンガン×2 XM18ワイヤーガン×2 |
基本携帯火器 | オットー・メララ「ボクサー」57mm散弾砲 ロイヤル・オードナンスM1108対戦車ダガー ジオトロン・エレクトロニクスGRAW-2単分子カッター |
搭乗者 | 相良宗介 |
AIコールサイン | アル |
目次 |
[編集] 機体解説
M9 ガーンズバックの試作機をベースにブラックテクノロジーを投入した機体。作中でミスリルが保有する唯一のラムダ・ドライバ搭載型ASである。
通常のM9と基本的なシステムはほぼ同一であり、操縦自体はそれ相応の訓練を受けていれば可能。また、武装やオプション装備などもM9と同じものが使用可能となっている。搭乗者の宗介は、前衛を担当することが多いため、OTOメララ社製 57mm散弾砲ボクサーを愛用している。
M9との最大の相違点はラムダ・ドライバを搭載している点。それに伴い、骨格系などにM9とは異なる専用のパーツが用いられているため、予備パーツの数が実は不足気味である(『揺れるイントゥ・ザ・ブルー』において、左腕のスペアが無い事が明かされている)。ただし、一部のパーツはM9と共通しており、代用することも可能。また、ラムダ・ドライバの影響で本機の活動時間(100時間)はM9のそれ(150時間)よりも短いものとなっている。 外見上の相違点としては、機体各部に冷却フィンを内蔵している点や、双眼のセンサーを用いている点、そして、人間の「口」にあたる部分に武装携行用のハードポイントが付いている点が挙げられる。このハードポイントで銃器や単分子カッターを掴む(くわえる)ことができる。
機体名の由来は、中世ヨーロッパの石弓から。作中のレナード・テスタロッサの発言から推察するに、ARXシリーズは中世の武器名をその名に冠している(ARX-6 ハルバードなど)。しかしARX-5まではASですらない特殊な機材の集合体だったらしく、ARX-6 ハルバードの代から劇的な進歩を遂げ、ARX-7 アーバレストが開発されるに至った。
[編集] ラムダ・ドライバ
ラムダ・ドライバの発動には宗介の搭乗が必須となっており、起動時にも「ラムダ・ドライバの発動には、SGTサガラの搭乗が必要」とのメッセージが表示される。
アマルガムの保有するラムダ・ドライバ搭載機とは異なり、この機体のそれは機体と搭乗者がシンクロすることによってその機能がより強固なものになるという特性を持つ。そのため、『終わるデイ・バイ・デイ』のクライマックスにおいて5機のコダールmを相手にした際は、敵機を圧倒する能力を発揮している。また、明らかにアーム・スレイブの重量を支えられるはずもない道路標識の上に着地したり、敵が人質にとったASを透過して、その背後にいる敵機のみを破壊するという離れ技を演じた事もある。余談だがアニメ版のこの部分に合わせて某格闘ロボットアニメの主人公ロボットの必殺技のまわし台詞を言うと見事に合う。(恐らく声優ネタだと思われる)
なお、小説版とアニメ版では肩装甲や背中など、細部の形状が若干異なっており、アニメ版のほうが、ラムダ・ドライバの発動が、外見的により明確な形で表されている(背中と肩から放熱板が展開)。
[編集] 兵装
M9の試作機をベースとしている事もあって、M9と共通する部分は比較的多い。
- AM11 12.7mmチェーンガン
- M9の頭部に搭載されているのと同型のチェーンガン。車両、歩兵相手ならまだしも、ASが相手になるとミサイル等の迎撃か牽制するに留まる。TSRの描写によれば、装弾数は1500発。
- XM18ワイヤーガン
- チェーンガンと同じく、M9と共通のワイヤーガン。前腕部に装備される。
- 『揺れるイントゥ・ザ・ブルー』のクライマックスではこの装備の有無が宗介とガウルンの明暗を分けた。また、TSRのラストでは、この装備のみでコダールmを1機撃破している。
- オットー・メララ「ボクサー」57mm散弾砲
- 宗介が愛用する散弾砲(ショット・キャノン)。M6クラスの機体では取り回しに難があるが、M9やアーバレストならば特に問題なく運用可能で、とりわけ近距離戦で威力を発揮する(もっとも、宗介の場合はサベージやM6に乗っている時もこの武器を使っていることが多い)。
- ショットガンが原形であるため、ライフリングは施されていない。構造はモーゼルC96に似ている。また、APFSDSやOO-HESH、OO-HEATなど、多様な弾頭をセレクト可能。
- 癖の強い銃であることから、AS搭乗者の中でも評価が分かれる(作者曰く「SWATの隊員が44マグナムのリボルバーを使用するようなもの」であるという)。
- なお、『スーパーロボット大戦シリーズ』におけるアーバレスト(及び宗介専用M9)単体での最強武器であり、ラムダ・ドライバ発動時は攻撃力増加という特性により基本的な攻撃力を遥かに上回る火力を発揮する(反面、原作設定と同様に射撃武器としては射程が短い)。
- ロイヤル・オードナンスM1108対戦車ダガー
- 対戦車用の投げナイフ。M9のそれと同型で、脇にある兵装ラックに収容されるという点も同様。標的に命中すると爆散するようになっている。
- ジオトロン・エレクトロニクスGRAW-2単分子カッター
- 信頼性の高い単分子カッター。M9と同じものを使用する。
[編集] 作中での活躍
- 『戦うボーイ・ミーツ・ガール』
- 北朝鮮(小説版設定。アニメ版だと「ハンカ自治区」)に取り残された宗介達の元に弾道ミサイルで送り込まれたのが最初の実戦投入。北朝鮮軍のサベージ部隊と交戦し、これを撃破。その後のガウルンとの戦闘の際にラムダ・ドライバが宗介の精神パターンに最適化される。撤退中にもサベージ及び戦闘ヘリを撃墜している。
- 『疾るワン・ナイト・スタンド』
- 前回同様に弾道ミサイルで有明に送り込まれる(投下地点は東京国際展示場)。ベヘモスと交戦し、左腕を失いつつもこれを撃破する(テレビ版では左腕は失っていない)。
- 『揺れるイントゥ・ザ・ブルー』
- ぺリオ諸島を制圧したテロリスト(実はアマルガムの部隊)に対して海中からの強襲を仕掛け、フランス製ASミストラル2(アニメ版ではZy-98 シャドウ)と対空砲を多数撃破。ただし、ガウルンの駆るコダールiに対しては有効打を与えることができず、最終的にはTDD-1艦内格納庫での戦闘でこれを撃破する。この際の経験から、宗介は本機に対して不信を抱くことになる。
- なお、ペリオ諸島に強襲を仕掛けた際はM9と同様のグレー系の塗装を施していたが、TDD-1格納庫内でラムダ・ドライバが起動した際、塗装が剥げ落ちて元のカラーリングに戻っている。
- 『終わる・デイ・バイ・デイ』
- 前半では、クルーゾーのM9に完膚なきまでに叩きのめされるなど、余りいい所は無かった。しかし、クライマックスでは香港においてコダールmを5機を撃破している。このエピソードで本機の"フラグ"が立ち、アルの自由会話モードが常時起動するようになった他、ラムダ・ドライバを比較的自由に扱えるようになっていく。
- このエピソードを舞台としたTVアニメ版第3作においては、小説本編のエピソードより以前にバリク共和国に派遣され、アマルガムの支援を受けて配備された同国の戦闘車両及びASを多数撃破している。
- 『踊るベリー・メリー・クリスマス』
- 物語序盤では、南沙諸島の海賊のアジトに強襲を仕掛け、これを制圧。制圧の際に海賊の司令官からのATMをLDで防御する。その後、アルの自律駆動によって"パシフィック・クリサリス号"船内に出現した 十数体のPlan1211アラストル の一掃に成功。また、同艦を直撃する魚雷をラムダ・ドライバで阻止した後にテッサを救出するために緊急展開ブースターで追撃を行い、脱出した宗介とテッサを回収している。
- 『つづくオン・マイ・オウン』
- アマルガムのメリダ島に対する攻撃直前に東京の宗介の元に運ばれる。その後陣代高校で人質となった恭子を救うための囮となる。この時アルは宗介に対して「私を一人にしないでください」と発言しているほか、宗介と別れる予感がするとも言っており、この時点でアルは通常のAIとは一線を画する存在となっている。
- その後コダールm数機を撃破するも、レナード・テスタロッサの駆る Plan1055ベリアル の前に敗れ、完全に大破する。その残骸はラムダ・ドライバのコアユニットとアルは香港のミスリル残党によって回収された(後にARX-8 レーバテインに組み込まれる)。