アーマード・コア ラストレイヴン
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アーマード・コアラストレイヴン(ARMORED CORE LAST RAVEN)は、フロム・ソフトウェアから発売されたプレイステーション2用ロボットアクションゲームであり、PS2でリリースされた最後のACシリーズである。通称はLR(Last Raven)。キャッチコピーは「誰もが、生きるために戦っている。」。
ACシリーズ10作目として位置づけられている作品だが、9作目のアーマード・コア ナインブレイカーと本作の間に、アーマード・コア フォーミュラフロントがリリースされているため、厳密にいえばロボットアクションゲームとしてのACシリーズ第10作ということになる。
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[編集] ストーリー
特攻兵器の飛来(NXのエンディング)により世界が壊滅的打撃を受けてから数ヵ月後。辛うじて企業として生き残ったミラージュ、クレスト、キサラギの3社は自分達の支配の安定化を目的として「アライアンス」として同盟を結ぶ。これに対し、一部のレイヴンが武装組織「バーテックス」を組織し、"アライアンスの打倒とレイヴンによる新たな秩序の創出"を旗印に、アライアンスに対する総攻撃を予告した。両陣営の戦闘は激しさを増し、総攻撃の予告時刻まで残り24時間。戦局の行方は旧世代兵器との戦闘を生き延びた、22人のレイヴンに委ねられた。
[編集] 特色
24時間でミッションを十数回遂行、その内容により最終ミッションが変化するアクティブミッションと呼ばれる形態を採る。同時間帯に存在する複数のミッションのうち、1つを受ける形式を繰り返す。戦略的または高い技術力が要求されるため、難易度が非常に高い。(にもかかわらず難易度設定はなし。)
ブースタの出力とジェネレータの出力の上昇により速度は前作までに比べ格段に上昇し、やや大雑把な動きとなった。同時に機体温度の上昇が緩和され、ブースタでの移動時に大きな影響は出なくなった。結果、速度上昇と精度のいい補正でほぼ理想的なものに仕上がっている。
パーツごとにダメージが蓄積し、一定値を越えると2段階に破損、破壊され性能が低下する部位破壊システムが導入された。ただし、フロート脚部使用時にはコアではなく脚部に被弾することが多く、被弾による損傷で高機動性を売りにすることが困難となり、結果として冷遇されてしまっている。同様に、タンク脚部を使用している際は頭部が破壊されやすくなるという難点がある。
対戦における禁止パーツの数は少なめでバランスが取れている作品。一部の高出力ブースターを装備すると武器の弾速や補正が間に合わなくなる程機体速度が上がるため、制限される場合がある。
また、前作までは機体をガレージに3機までしか待機させる事ができなかったが、本作では5機まで待機可能となっている。ガレージ自体のレイアウトも変更され、機体の閲覧機能が追加された。
[編集] キャラクター
[編集] プレイヤーの周辺人物
- シーラ・コードウェル (声:深見梨加)
- プレイヤーのマネージャーを務める女性。元はミラージュに所属していたが退社して現在に至る。歴代のオペレーター達と異なり、依頼の報酬から分け前を貰っている為か、依頼の結果に一喜一憂するような言動が多い。また、依頼の達成が確実と見るや報酬の増額交渉を始めたりもする。そのためファンの間では「守銭奴」と極端なことを言われるキャラでもある。一応補足するなら、主人公の安否を気にするような言動も確認されることから、人間味に薄い人物ではないようである。
- エド・ワイズ
- プレイヤーのリサーチャー。腕は確かで様々な情報を伝えるが、その口は非常に辛口で、レイヴンを酷評する事も多い。おまけに作中では彼の評価はアテにならない場合もある。
[編集] バーテックス
- ジャック・O (声:津田健次郎)
- バーテックスのリーダー。元はアークの主宰で上位ランカーでもあった。作中登場人物は単にジャックと呼ぶことが多いが、本名が実際にジャックであるかどうかは不明。ファンの間ではアーマード・コア ネクサスの頃と同じく弱王と呼ばれることも。
- 搭乗機はNXと同じフォックスアイだが、機体構成に若干の相違が見られる。
- 特攻兵器襲来後の一時期は消息不明となっていたが、現在はそのカリスマ性を生かしてバーテックスを結成し、アライアンスに宣戦布告する。物語の中盤以降、自らの戦力を削ぐような不可解な行動を取り始める。
- なお、一部のファンの間では、『くそみそテクニック』の阿部高和とフォックスアイの頭部パーツを組み合わせたアスキーアートで表されることがある。
- 烏大老
- NXから引き続き登場。バーテックスの最古参レイヴンであり、実質的ナンバー2。主要幹部であると同時に現場における指揮官も務め、ジャック・Oからの信頼も厚い。
- 搭乗機体の名称はNXと同様にエイミングホークだが、若干機体構成に変化がある。
- なお、「とりたいろう」や「からすたいろう」など、その名前をよく誤読されるが、正しくは「ウーターロン」である。
- そのキャラクターから、新人であるシャウザーと比較されることが多い。
- ンジャムジ
- NXにも登場したレイヴン(ただし補充ランカーであり、NXの本編には登場しない)。搭乗機体名は前作同様ウコンゴ・ワ・ペコ。
- 正々堂々と戦う事を旨とし、ジャック・Oとの間には奇妙な友情があるとも言われる(もっとも、作中でその友情は破られることになるが)。
- Ω
- NXより再登場を果たしたレイヴン。NXにおいてはンジャムジ同様、補充ランカーであった。搭乗機体名はClownCrown。
- 純粋に殺戮を楽しむ享楽主義者にして、エド・ワイズ曰く「バーテックスでもっとも危険な異端児」。
- G.ファウスト
- 特攻兵器襲来後に現役復帰した老兵。バーテックス内部での扱いは低く、決して有力なレイヴンとは言い難い。現役復帰した理由は不明。
- なお、搭乗機体名の“パンツァーメサイア”をもじって、機甲救世主G・ファウストという、いかにもロボットアニメを髣髴とさせるネタがファンの間で生み出されている。
- ライウン (声:小谷津央典)
- バーテックスの実力派レイヴンで、NXにも登場している。機体名は“ストラックサンダー”。
- ルートによっては最初のミッションで戦うことになる相手だが、ニューゲームで開始した場合、(自機がほぼ初期装備であるにもかかわらず、大出力のレーザーキャノンを装備しているため)対応が極めて困難となる。
[編集] アライアンス
- エヴァンジェ (声:桐本琢也)
- アライアンス戦術部隊の司令官。元アーク所属のレイヴンでジャック・Oとは因縁がある。また、自らを『ドミナント』であると認識していた。
- 愛機はNXと変わらずオラクルだが、こちらはパーツやカラーリングがNX時代とは大きく異なっている。
- ドミナントという肩書きと実力の差から、ファンの間では"ゴミナントと"呼ばれることもある(実際は彼自身ドミナントを自称するだけであってそうではなかったのではないか、と言う説もある)。また、LRにおいて『隊長』という呼称は彼を指すと言ってもいい(肩書きは指揮官だが、隊長と呼ばれるケースの方が目立っていたため)。
- またルートの分岐によってはライバル、もしくはかませ犬という思いっきり差のある扱いだったりする。
- プリンシバル
- 戦術部隊唯一の女性レイヴン。NXにも登場している。
- 強化人間であり、フロートACの"サンダイルフェザー"を駆る。エド・ワイズ曰く才能はあるが実力不足であり、「余り賢い女ではな」く、「同情に値する」とのこと。
- ファンの間ではプリンもしくはプリン姉さんという愛称を付けられている。
- また、ミッション開始前のブリーフィング画面で表示される近影の髪型が「なんとなく縦ロールに見える」という意見が一部のファンの間から上がっており、稀にネタにされる。
- モリ・カドル
- アライアンスに属するレイヴンの1人。戦術部隊ではなく本部直属になっているが、これは戦術部隊の隊長であるエヴァンジェの彼に対する評価が極めて悪いため。
- 搭乗する機体の名称はピンチベックといい、これはNXでジノーヴィーが搭乗したデュアルフェイスとカラーリングを含めて全く同じである(エンブレムのみ左右が反転されている)。ただし、その言動が余りにジノーヴィーとかけ離れていたため、ファンの間ではネタキャラとして扱われる事が多い。一応NXのジノーヴィーより動きはいいものの、姑息な策を巡らす、ジノーヴィーらしからぬ言動(自分が不利になったときの「管制室ちゃんと援護しろよっ!!」などのセリフ)から、ジノーヴィーとは別人である可能性が高い(ファンの間では別人説が定説となっているといっても過言ではない。名前のモリ・カドル、ACネームのピンチベックもそれぞれ「Mollycoddle:女々しい男、弱虫」、「Pinchbeck:偽の、偽物の」と言う意味であるため、公式に別人であることに間違いはないだろう)。
- なお、ファンの間で彼は森と呼ばれることがある。
- トロット・S・スパー
- アライアンス戦術部隊指揮官補佐。NXにも登場しており、機体名は“バリオス・クサントス”。
- エヴァンジェに心酔し、忠誠を誓っている。
- ジャウザー
- アライアンスの正義を妄信し、忠実に戦う若手レイヴン。エド・ワイズ曰く実戦経験は少ないものの、才能でそれを補っている。LR本編の以前に、バーテックスのレイヴンを多数撃破している模様。また、本作のキャラでは珍しく敬語を使用する(アーマード・コアシリーズを通してもレイヴンが敬語を使用するのは珍しい)。
- そのキャラクターから、古参兵である烏大老と比較されることが多い。
- ゴールディ・ゴードン
- 戦術部隊所属のレイヴン。NXにも登場しているが、レイヴンになった理由及びアライアンスに与する理由は金を稼ぐため。搭乗機体名は、“レイジングトレントIV”(I~IIIはNXに登場する)。正気とは思えない機体構成を続けてきた彼だが、ここにきてようやくまともな(今までと比べて、だが)機体に乗り換えたようだ。
[編集] その他
- ジナイーダ (声:浅野まゆみ)
- どの組織にも属さない孤高の女性レイヴン。特攻兵器襲来後に力をつけ台頭してきた。搭乗機体名はファシネイター。
- 「産業侵入者排除」のミッションにて、護衛する筈だった部隊が彼女の到着前に全滅しており、それを行ったプレイヤーを撃破すべく執念を燃やす。
- また、「ジナイーダ」という名前は「ジノーヴィー」「アグラーヤ」と同様にロシア系の名称であるため、この2人と何らかの関係があるのではないかと言われている。また、ジノーヴィー(NXのトップランカー)の機体と瓜二つである“ピンチベック”を駆るモリ・カドルを追っているという設定からも、この三者(ジノーヴィー、アグラーヤ、ジナイーダ)の間になんらかの因果があることがうかがえる。
- ファンの間ではジナと短縮して呼ばれるケースが多い。
- ウォーンタン・バスカー (声:松本大)
- 策士を気取る独立系レイヴン。本編に深く関わるというわけでもなく、陰は薄い。
- VOLA-VOLANT
- ウォーンタン・バスカーと行動を共にするレイヴン。
- ムーム
- 武装勢力を率いる女性レイヴン。機が強い自信家ではあるが、運だけで生き残ってきたという噂も流れている。
- ケルベロス=ガルム
- ムームのサポート役を務めるレイヴン。過去にあらゆる罪で投獄された経験を持ち、レイヴンとして活動していた期間のほうが短いとも言われている。
- ズベン.L.ゲヌビ
- 武装勢力を率いるレイヴン。目的のためには手段を選ばず、主人公に偽の依頼を出して罠に嵌めようとする。ただし、作中においてはリム・ファイアーのかませ犬として描かれている。
- その言動の小者振りから、モリ・カドルと並び本作におけるネタキャラとしての地位を確立している。
- リム・ファイアー
- NXにも登場したレイヴン。4脚AC"バレットライフ"を駆る。ただしNXの時とは違って声が渋くなり、一部ではネタにされている。
- NXにおいて父親をレイヴンに殺されたためか、レイヴンそのものの存在を憎んでいる。そのため、助けを求めたズベンを見殺しにするというシーンも見られた。
- グリーン・ホーン (声:野島裕史)
- 小規模ながら独自の武装勢力を率いるレイヴン。アライアンスとバーテックスの争いを利用し、自勢力の拡大を図っているが、決して実力のあるレイヴンではない。
- 作中に登場する「あきらめな。お前じゃこの先生きのこれないぜ」という台詞(本来は「この先生き残れないぜ」)から、ファンの間ではきのこ先生の愛称で呼ばれることがある。
- ファントム
- かつてアークから離反したレイヴン。特に主義主張を持たず、即物的利益のために戦う。
[編集] 登場組織
- アライアンス
- 特攻兵器の襲来によって、疲弊した企業群が合併して作り上げた新たなる統治機構。戦力として、傘下のレイヴンや旧企業軍で構成される戦術部隊を擁するが、本部の意向に沿わぬ独断専行が目立つ有様。また独自の動きをとる旧企業の一派も存在し、バーテックスとの勢力争いは予断を許さぬ状況にある。しかしながら主に歴戦の傭兵達で構成されたバーテックスに遅れを取る部分も多く見受けられる。
- バーテックス
- かつてレイヴンズアークの主宰の一人でもあったジャック・Oが創設した武装組織。彼の卓抜した政治力とカリスマ性によって、瞬く間にアライアンスと世界を二分する程に成長した。特攻兵器の襲来を生き延びた強豪レイヴンや、企業支配に反対する武装勢力で構成される。企業支配からの脱却と、レイヴンによる新たなる秩序の構築を標榜するが、ジャック・Oの真意はまったく別のところにあった。
[編集] 用語
- パルヴァライザー
- "粉砕するもの"と名付けられたインターネサインを守護する旧世代の兵器。戦闘で得られたデータを蓄積し無限に再生・進化を繰り返す能力を持つ。
- 作中では主に脚部の形状が登場するたびに変化し、タンク脚型、4脚型、2脚型、フロート脚型、飛行型などのバリエーションが登場している。
- 特攻兵器
- 数ヶ月前(NXラスト時)に世界を壊滅寸前に追いやった旧世代の兵器。雲霞の如く大量に飛来し無差別な自爆攻撃を繰り返す。
- インターネサイン
- サークシティの地下空間に存在する旧世代の巨大施設。特攻兵器を無尽蔵に製造する機能を持つ。
- ドミナント
- かつて一人の科学者によって提唱された"先天的な戦闘適応者"。眉唾な理論として忘れ去られていたが、ジャック・Oは自身の目的を果たす鍵としてこれを探している。また、エヴァンジェはドミナントを自称している。
[編集] 余談
フジテレビ系で2006年10月28日に放送されたドラマ『弁護士 灰島秀樹』において、登場人物の灰島秀樹(八嶋智人)と速水龍人(長井秀和)が本作をプレイしているシーンがある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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初代 | アーマード・コア(初代) - プロジェクトファンタズマ(PP) - マスターオブアリーナ(MOA) |
2系 | アーマード・コア2(AC2) - アナザーエイジ(AA) |
3系 | アーマード・コア3(AC3) - サイレントライン(SL) |
N系 | ネクサス(NX) - ナインブレイカー(NB) - フォーミュラフロント(FF) - FF インターナショナル(FFI) - ラストレイヴン(LR) |
4系 | アーマード・コア4(AC4) |
モバイル | モバイルミッション(M1) - モバイル2(M2) - モバイルオンライン(MO) - MO サイバーアリーナ(MOCA) - モバイル3(M3) |
ゲーム以外の作品 | フェイク・イリュージョンズ - マスターオブアリーナ - AC4アナザーストーリー - FORT TOWER SONG(FTS) - TOWER CITY BLADE(TCB) |
関連項目 | アーマード・コア (架空の兵器)、大破壊 |