イルミナティ
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イルミナティ(Illuminati)は、過去に存在した秘密結社の名前。
イルミナティとは、啓蒙、開化を意味するラテン語で、近世以降、この名前で呼ばれた秘密結社はいくつもある。グノーシス的要素やテンプル騎士団との関連等を持つとされる。
陰謀論においては非常に人気があり、現在でも密かに世界へ手を伸ばし影響を与えている影の権力であるとされる。ただし、日本ではそれほど有名ではなく「ユダヤの陰謀」や「フリーメイソンの陰謀」で置き換えられていることが多い。また、単にイルミナティと言った場合、後述のアダム・ヴァイスハウプト主宰のものを指す場合が多いが、その後に復興運動があったとは言えその本体の活動期間は実質8年間であり、陰謀論の主体としてはユダヤやフリーメイソンと比較して説得力に欠けるという側面もある。
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[編集] アダム・ヴァイスハウプトのイルミナティ
バイエルン王国で1776年に、インゴルシュタット大学の実践哲学教授アダム・ヴァイスハウプトが啓蒙主義的なPerfektibilismus(人類の倫理的完成可能説)を謳い、Perfektibilistenの同盟を創り、後に、イルミナティと改名した。愚昧や悪意を打倒する理神論的アナーキーの側面と、内部の位階制の側面が、同居している。ヴァイスハウプトからのキリスト教批判はあるが、それは倫理的完成へと向けるもので、他教への転向などを訴えるのではない。ユダヤへの連関で語ってはいない。最盛期には各国に支部が置かれ、会員はインテリ、著名人、政治家、貴族等、2千人に及んだという。1777年、ヴァイスハウプト自身もフリーメイソンになっており、並行してフリーメイソンだった者も多かったが、両組織に直接の繋がりは無かったと考えられている。1784年にバイエルン王国がフリーメイソンリー、イルミナティを含む全ての秘密結社を禁止するまで続いた。1785年にローマ教皇ピウス六世はイルミナティがカトリックの教義になじまないと明言した。結社としての活動は1785年に終わったが、1897年になってレオポルト・エンゲルによってドレスデンで独自の形で再興された。オカルト色が強く、悪魔主義になっている。
[編集] 訳語
日本語では「啓明結社」、「パヴァリア啓明結社」、「光明会」とも訳され、澁澤龍彦『秘密結社の手帖』では「パヴァリア幻想教団」と訳された。
[編集] 作品
- 『フーコーの振り子』、ウンベルト・エーコ
- 『天使と悪魔』、ダン・ブラウン
- 『Deus Ex』、2000年
- 映画『トゥームレイダー』、2001年
- 『ILLUMINATI』MALICE MIZER
- 『Illuminati』ファットボーイ・スリム
[編集] 参考文献
- Die Korrespondenz des Illuminatenordens. vol. 1, 1776-81, ed. Reinhard Markner, Monika Neugebauer-Wölk, Hermann Schüttler. - Tübingen, Max Niemeyer, 2005. - ISBN 3-484-10881-9
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