ウェルキンゲトリクス
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ウェルキンゲトリクス(Vercingetorix、紀元前72年 - 紀元前46年)は、フランス最初の英雄と称される人物である。ガリア(現在のフランス)の一部族、アルウェルニ族の出身で、「ガリア人」としての結束を促し古代ローマの侵略に抵抗した。ヴェルキンゲトリクス、ヴェルチンジェトリクス、ヴェルサンジェトリクス(フランス語読み)とも表記される。
弱冠20歳前後でガイウス・ユリウス・カエサルのガリア遠征においてそれまで統率の取れていなかったガリア民族を纏め上げ、対ローマ統一部隊を組織してガリア各地でゲリラ戦やローマ軍の兵站線の寸断、焦土作戦を展開し、ローマ軍を苦しめた。
しかし最終的にアレシアの戦い(アレシアは現在のディジョン周辺)で追い詰められて包囲され、突破作戦を決行するも失敗し、部下たちの保全を条件についに降伏、投降した。その後、ウェルキンゲトリクスはローマへと送られ、6年間投獄された後、カエサルの凱旋式が行われた際に処刑された。カエサルは本来は敵に回った人間でも処刑することのない人であったが、彼だけは処刑されている。それは彼があまりに有能であり、生かしておくことが危険と判断したからである。
現在でもウェルキンゲトリクスはフランス最初の英雄、ガリア解放の英雄とされ、かつてのアレシアの地にナポレオン3世によって彼の銅像が立てられた。