ウッズホール海洋生物学研究所
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ウッズホール海洋生物学研究所 (Marine Biological Laboratories; MBL または WHMBL) は、アメリカのマサチューセッツ州ウッズホールにある全米最古の海洋生物学の研究所。設立は1888年で、当初は少数の有志によって設立された。50名近くの通年研究者が研究しているが、避暑地である土地柄もあり、夏季には世界中から科学者・学生が研究に訪れる。
単一の研究所としては、最多のノーベル賞受賞者を輩出している。遺伝学のトーマス・ハント・モーガン (Thomas Hunt Morgan) をはじめとして、近代発生生物学の開祖 Ernest Everett Just やジャック・ロイブ (Jacques Loeb)、カブトガニを用いた視覚研究の H・K・ハートライン (Haldan Keffer Hartline)、ハマグリからサイクリン (cyclin) を発見した Joan Ruderman とティモシー・ハント (R. Tim Hunt) などの研究はいずれも生物学に革命的な進歩をもたらした。DNA 2重螺旋のジェームズ・ワトソン、アメフラシを用いて記憶のメカニズムを明らかにしたエリック・カンデル (Eric R. Kandel) なども在籍した。そのほか、イカ (Loligo pealei) の巨大神経軸索 (giant axon) の研究モデルや、カブトガニの日内時計 (circadian clock) の研究モデルなども MBL で確立した世界的モデルである。有名な女性研究者も多く輩出しており、トランスポゾンを発見したバーバラ・マクリントック (Barbara McClintock) なども研究所にゆかりのある研究者の一人である。遺伝学・発生学・神経生理学などが有名であるが、それ以外にも生態系の研究としても世界的に有名である。
日本人ではこれまで、團勝磨、井上信也、下村脩など世界的な研究者が在籍している。クジラの研究で有名なウッズホール海洋研究所 (Oceanographic Institute または WHOI) は、MBL の近所にあるが独立した研究所である。