エイフェックス・ツイン
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エイフェックス・ツイン(Aphex Twin)のアーティスト名で最も知られるリチャード・D・ジェームス(Richard D James、1971年8月18日 - )はイギリスのアーティスト、作曲家、DJである。その作曲ジャンルは多岐にわたり、テクノ、アンビエント、エレクトロニカ、ドラムンベース、アシッド・ハウスと多彩である。同時に複数のアーティスト名義を使うことでも知られる。アイルランドのリムリックで生まれ、イギリスのコーンウォールで育った。
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[編集] 経歴
イギリスでテクノシーンが盛り上がるとともに、地元でDJをしていた。この頃からAphex Twinの名義を用いだす。1991年に自身のレーベルであるリフレックス・レコーズ(Rephlex Records)を設立。同時に他のレコード会社へもデモテープを送り、1991年にはTVTレコーズからAFX名義で、後にシリーズ化するシングル盤のAnalogue Bubblebathをリリースした。1992年にはR&SレコーズからAphex Twin名義で、1993年にはワープ・レコーズからPolygon Window名義でそれぞれアルバムをリリースした。
1994年にAphex Twin名義でのリリースがR&Sからワープに移る。Aphex Twin名義の初期はアンビエントをリリースする名義であったが、1996年のアルバムではドラムンベース(ドリルンベース)、2001年にリリースしたアルバムではプリペアド・ピアノを取り入れたりと実験的な曲もリリースする名義になっている。2004年からリリースしたシングル「Analord」シリーズでは、アシッド・ハウス寄りの曲をリリースしている。
彼は人材を発掘する手腕にも優れており、リフレックス・レコーズから独特の才能を持つアーティストを次々とデビューさせた。とりわけ有名なのは私的な友人でもあったルーク・ヴァイバート、共作のアルバムを発表したμ-Ziq、そして自らがライナーノーツを手がけたスクエアプッシャーのいわゆるコーンウォール一派である。
[編集] エピソード
エイフェックス・ツインは数々の奇行、虚言癖の持ち主としてもよく知られる。もっとも、彼を奇人扱いするマスメディアを逆手に取ったようなものも数多くあり、現在では信憑性に疑問を持たれるものも多い。以下、代表的なエピソードを記す。
- 16歳まで自分の作曲した音楽しか聴いたことがなかった
- 自作の楽器のみを使用。ライブにも自作機材を持ち込み、機材が故障したらライブ終了
- アメリカのSireレーベルと数億円と言われる巨額の契約金でサイン。その契約金で戦車(実際は装甲車)を購入
- 多くの楽曲のリミックスを行っているが、嫌いな曲しか引き受けない。クソみたいな曲を少しでも減らしたいからというのがその理由である。また、あまりにも原曲とかけ離れた仕上がりになるものが多く、実際にリミックスをしているかという点にも疑問を持たれ、未発表曲を渡しているだけではないか?とも言われている
- ビョークにテレビの砂嵐の楽しみ方を教える
- ライブで自分のCDをそのままかける
- 1997年の第一回フジ・ロック・フェスティバルにて来日。ステージ上に犬小屋を設置し、終始その中で演奏する
- 1998年、恵比寿ガーデンホールで行われたRephlex Nightにて来日。ステージ上には一度も姿を見せず、終始舞台裏でDJを行う
- 1999年発表のWindowlickerをスペクトラムアナライザに通すと、悪魔のような顔が浮かび上がる。しかしこれは悪魔ではなく、リチャード本人の顔画像である
- 多作家で毎年のようにアルバムをリリースしていたが、「死ぬまでアルバムは発表しない」と発言し、実際に作品のリリースが極端に減った。結局2001年に二枚組の大作Drukqsを発表したが、その理由は「自分とSquarepusherの未発表曲が何百曲も入ったMP3プレイヤーを紛失してしまったから」である
- イギリスの音楽機材雑誌「Future Music」にて行われたWagon Christ(Luke Vibert)のリミックスコンテストにて、Tahnaiya Russellなる謎の人物が優勝。Lukeが「これはダントツ!最高のAcidラインだよ!」と語るそのリミックスの作者は、実はRichard D. Jamesだった
[編集] ディスコグラフィー
[編集] Aphex Twin
- アルバム
- Selected Ambient Works 85-92(1992年)
- Selected Ambient Works Volume II(1994年)
- Classics(1994年)
- I Care Because You Do(1995年)
- Richard D. James Album(1996年)
- 51/13 Singles Collection(1996年)
- drukqs(2001年)
- 26 Mixes for Cash(2003年、自身が担当したリミックス集)
- シングル
- Digeridoo(1992年)
- Xylem Tube EP(1992年)
- On/On Remixes(1993年)
- Ventolin/Ventolin Remixes(1995年)
- Donkey Rhubarb(1995年)
- Girl/Boy EP(1996年)
- Come to Daddy EP(1997年)
- Windowlicker(1999年)
- Analord 10(2004年)
[編集] AFX
- Analogue Bubblebath(1991年)
- Analogue Bubblebath 2(1992年)
- Analogue Bubblebath 3(1993年)
- Analogue Bubblebath 4(1994年)
- Analogue Bubblebath 5(1995年、未発売)
- Analogue Bubblebath 3.1(1997年)
- Hangable Auto Bulb(1995年)
- Hangable Auto Bulb 2(1995年)
- 2 Remixes By AFX(2001年)
- Smojphace EP(2003年)
- "Mangle 11 (Circuit Bent V.I.P. Mix)"(2003年)
- Analordシリーズ(AFX名義中心だが他名義からもリリースあり)
[編集] Bradley Strider
- Bradley's Beat (1991年)
- Bradley's Robot(1993年)
[編集] Caustic Window
- Joyrex J4(1992年)
- Joyrex J5(1992年)
- Joyrex J9(1993年)
- CAT 023 (未発表。4枚のレコードがプレスされたのみ)
- Caustic Window Compilation(1998年)
[編集] Gak
- GAK(1994年)
[編集] Universal Indicator
- Universal Indicator: Red(1992年)
- Universal Indicator: Green(1993年)
※Universal Indicatorシリーズ中、 "Blue"(1992年)および "Yellow"(1992年)は、Kosmik Kommandoことマイク・ドレッドの作品
[編集] Polygon Window
- Surfing On Sine Waves(1993年)
- Quoth(1993年)
[編集] Power Pill
- Pac-Man(1992年)
[編集] Q-Chastic
- Q-Chastic EP(1992年、未発売)
[編集] 他アーティストとのコラボ
- Freeman Hardy & Willis Acid (&スクエアプッシャー、ワープのアルバム100枚リリース記念盤のWAP100に収録)
- Expert Knob Twiddlers(Mike and Rich"名義のアルバムの、Richとして。Mikeはµ-ziqとして知られるマイク・パラディナス)
- AFX/LFO (&LFOとのシングル)(2005年)