エウアンゲリオン
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エウアンゲリオン(ευαγγελιον。ラテン文字で表記すれば euaggelion だが、二重のガンマ(γ)は [ŋ], /N/ の発音になる。中世以降のギリシア語では、eu は [ev] と発音する)とは、キリスト教では福音・福音書の事。イスラム教アラビア語でインジール。
[編集] 由来
古代ギリシャでは、エウ(良い)アンゲリオン(知らせ)で 元来、マラソンの元となったマラトンの戦いの勝利の伝令のような戦争の勝利や出産など、喜ばしいことを伝える手紙などを指し、良い知らせ、めでたいニュースの意だった。なおこのαγγελが使者の意味にかわったアンゲロスが天使をさすエンジェエルという言葉の語源でもある。
イエス・キリストの十字架刑からの復活(紀元後30年頃)直後、イエスの弟子(使徒)たちは「神の国(支配)が到来した」というイエスのメッセージを世界に広げるために布教を始めた。弟子たちはこのメッセージを初め、良い知らせ、又はイエスの良い知らせと呼んだ。四福音書中最初に書かれ、断片が死海文書にも見つかっているマルコ福音書は、冒頭「イエス・キリストの良い知らせの初め。」で始まっている。
エウアンゲリオンの内容である、イエス・キリストが到来を告げた「神の国(支配)」(βασιλεια του θεου)が何であったかに関しては、新約聖書の内容全体と関わってくるため、その詳細は聖書学者によって意見が分かれる。一般的には、「神の国」というように領域としての国としてとらえる場合と、「神の支配」のように神から与えられた新しい秩序としてとらえる場合に大きく分けられる。
このエウ(良い)アンゲリオン(知らせ)を日本語では福音と翻訳した。 英語ではEvangelion以外にも古い英語でGood Newsの意味を表すGospelという語も使われる。