エゾミカサリュウ
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エゾミカサリュウ(Yezosaurus mikasaensis)は、中生代白亜紀後期の海棲肉食爬虫類で、北海道空知管内三笠市の桂沢湖周辺で頭部の化石が発見された。
[編集] 国の天然記念物
エゾミカサリュウの化石は1976年6月21日発見され、国立科学博物館の研究者らによって肉食恐竜と発表された。当時、肉食恐竜の化石としては日本で初めての発見とされ、翌1977年には国の天然記念物に指定された。1979年には三笠市立博物館が完成し、エゾミカサリュウの化石の展示が行われた。
[編集] 幻の『恐竜』
一部の関係者は、エゾミカサリュウが海棲の爬虫類であり、恐竜ではないこと(恐竜は陸棲爬虫類)を早い段階から認識していたが、発表には至らず、その事実は1990年頃の報道によって初めて明るみに出た。毎年夏に恐竜まつりを開催するなど、エゾミカサリュウは三笠市にとって町おこしの最大の目玉であったことから、地元の落胆は大きかった。以後、エゾミカサリュウがどのような生物だったのか、に言及することは避けられるようになっていった。海棲であることさえもあえて伏せ、大型肉食爬虫類と紹介されることもある(例:『日本の天然記念物』講談社)。
[編集] 分類と生態
化石発見後の経緯から、エゾミカサリュウの詳細な研究はなされておらず、正確な分類は行われていない。滄竜類(モササウルス類、ウミトカゲ類)と考えられている。エゾミカサリュウの化石が発見された付近一帯はアンモナイトの化石の宝庫で、これらを食糧としていたとも考えられる。