オーバードライブプロセッサ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オーバードライブプロセッサ (OverDrive Processor) は、インテルが末端のユーザーへ向けて次世代CPUへのアップグレードパスとして販売していたCPUである。
オーバードライブプロセッサはODPと略されることが一般的である。
インテル社は、従来ではパソコンのグレードアップは全体の買い替えが必要だったが、ODPの追加購入だけでパソコンの延命が可能で、パソコンに対する総費用を低く抑えられるとしている。
インテル社は、オーバードライブ レディ (OverDrive Ready) キャンペーンに力を入れていた。ODPが登場した背景として、競合メーカーによるインテル社互換CPUのシェア拡大が次第に無視できなくなったため、パソコンユーザーやパソコンメーカーにインテル製CPUの優位性をアピールする目的があったと考えられる。
また、CPUの販売個数はパソコンの販売台数と等しく、販売個数はパソコンの販売台数で決まってしまう。そこで既成のパソコンにもう1個のCPUを売ろうという意図が少なからずあったと考えられる。具体的には、ODPにて70%以上の性能が向上するとしている。その場合の性能比較は、インテルが自ら考案した独自のiCOMPを用いる。逆に言えば、70%の向上が見られない場合は利用可能であってもODPの対象とはならない。
当初、不慣れなパソコンユーザーに配慮し、既存のCPUを取り外さずにODPを利用できるODP専用ソケットを装備させることをパソコンメーカーに対して推奨していた。例外的に既存のCPUを外して付け換えるプロセッサをODPR(ODP Replaceの略か)と称することもある。つまり、同じ機能と性能のプロセッサにODPとODPRとが存在する。Pentium世代以降、仕様上の制限からパソコンにODP用のソケットは装備されず、ODPRしか存在しないものの単にODPと称する。
当初の命名法は、ODP+対象CPU名というものであった。その一例としてODP486SXという製品があり、これは486SXを装着したパソコン用のODPであることを表している。しかし対象となるCPUやODPが増え、この命名法は破綻した。改められた命名法はCPU名+ODPで、CPU名はアップグレード後の名称である。既存の製品もその法則に従って改称された(例:ODP486DX / DX2ODP)。
[編集] 販売されていたODP
- ODPソケット (Socket2) を装備するパソコン向け
- ODP486DX - i486DX相当
- DX2ODP (ODP486DX) - i486DX2相当
- SX2ODP - i486SX2相当
- DX4ODP - Intel DX4相当
- ODPソケットを装備しないパソコン向け(既存CPUが装着されているSocket1を利用)
- DX2ODPR (ODPR486DX) - i486DX2相当
- SX2ODPR - i486SX2相当
- DX4ODPR - Intel DX4相当に
- Socket3を装備するパソコン向け(既存CPUが装着されているSocket3を利用)
- Pentium ODP for Intel486 (P24T) - Pentium相当
- Socket4を装備するパソコン(Pentium 60MHzおよび66MHz)向け
- Pentium ODP - より高性能なPentiumにアップグレード
- Socket 5を装備するパソコン(Pentium 75MHz以上のパソコン)向け
- Pentium ODP - より高性能なPentiumにアップグレード
- MMX Pentium ODP - MMX Pentium相当
- Socket8を装備するパソコン(Pentium Pro)向け
- Pentium II ODP - Pentium II Xeon相当 - Intergraphの特許抵触を避けるため、Xeon同様、基板上にCPUチップとCPUコアと等速で動作する2次キャッシュチップを搭載している。
インテルはPentium II ODPを最後にODPの開発を終了している。