カセットビジョン
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カセットビジョンはエポック社がかつて発売していたカセット式テレビゲーム機。1981年に登場した。
ファミリーコンピュータ(ファミコン)が登場するまでの2年間、最も売れていたもので、それまでのゲーム機の中では群を抜いて70万台の販売実績を誇っていた。
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[編集] 概要
カセットビジョンの構造はその後のゲーム機と比べると異色的な物で、本体に電源と操作部だけを搭載し、ロムカセットの中にCPUを搭載するというものである。 これは技術的な理由で完全にCPUを分離出来なかった等の理由もあるが、今のゲーム機の主流である本体にCPUを搭載する方式と比べると、カセットごとにCPUが必要といった効率の悪化という欠点があるとはいえ、安定した動作やそれまでに発売したソフト内蔵式ゲーム機の移植が容易にできるなどのメリットもあった。
また、カセットに搭載しているCPUは単体で演算、入出力、画像処理の全て1チップで行っているため、何ビットと定義するのは難しく、4ビットや、8ビット、果ては48ビットと、様々な数値が出ているが、総合的に見て4ビット級であるといえる。
[編集] 特徴
カセットビジョンの大きな特徴はその低価格にあると言っても過言ではない。当時、カセット方式のゲーム機本体の価格は50000円で均衡していたのに対し、カセットビジョンは本体13500円、ソフト4980円と最も安価な部類に入っており、販売の促進に大きく貢献した。
[編集] 性能
発売された時期や価格から見てもあまり優れた物ではなく、少ない色数や大きいドット、貧弱な音源、背景を描くバックグラウンドが出来ない(要するに黒い背景しかない)など、それ以前の1977年にアメリカで発売された『アタリVCS』よりも性能が劣っているが、価格から見れば相応の物であるといえる。
[編集] 他機種との競合
発売当時は手ごろな価格と、カセットを取り換えることで別のゲームが遊べるというカセット式ゲーム機の利点や定期的にゲームソフトを発売していたため好評を博し、ゲーム機市場でのシェア7割を獲得していたカセットビジョンだったが、1983年に任天堂から高性能、低価格のファミコンが発売されるとエポック社は廉価版のカセットビジョンJr.(-ジュニア、後述)、ファミコンに対抗したスペックを持つスーパーカセットビジョンを発売したが、結局は敗れ、市場から消え去った。
カセットビジョンはファミコンなどの8ビットゲーム機の一世代前のゲーム機であり、性能的にもユーザーの要求に応えることが難しく、商品的な価値はほぼ尽きており、競合、共存するための力はもはや持っていなかった。
[編集] カセットビジョンJr.
1983年7月に発売されたカセットビジョンの廉価版ゲーム機。価格は5000円。
ボリュームコントローラーなどが省かれており一部のゲームができなかった。
[編集] タイトル
性能の限界がきついゲーム機であるにもかかわらず、単純でありながらよく練られたゲームが多く、アクション、スポーツ、シューティング、レース、パズルなど、11作品が発表されている。
- きこりの与作
- ベースボール (「テレビ野球ゲーム」のカセットビジョン版)
- ギャラクシアン (ナムコの同名のゲームとは別内容ながら、ちゃんとナムコから許諾を得ている)
- ビッグスポーツ12 (ポンテニスゲーム8種=テニス・バレーボール・プラクティス・サッカー・スカッシュ・射撃3種。 ガンゲーム4種(光線銃対応はこのゲームのみ))
- バトルベーダー (テレビベーダーのカセットビジョン版)
- パクパクモンスター (パックマン風のドットイートゲーム)
- ニューベースボール
- モンスターマンション (ドンキーコング風のアクションゲーム)
- アストロコマンド
- モンスターブロック
- エレベーターパニック
販売中止
- グランドチャンピオン -- 販売直前で、致命的なバグが見つかり、修正されるも販売中止
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据え置き型 | マイクロソフト: Xbox(ソフト) - Xbox 360(ソフト) エポック社: カセットビジョン - スーパーカセットビジョン バンダイ: プレイディア(ソフト) SNK: ネオジオ(ソフト) - ネオジオCD 3DO社: 3DO(ソフト) アタリ: Jaguar - Atari 2600 |
携帯型 | エポック社: ゲームポケコン バンダイ: ワンダースワン(ソフト) - ワンダースワンカラー - スワンクリスタル SNK: ネオジオポケット(ソフト) アタリ: Atari Lynx |