カラコルム・ハイウェイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

カラコルム・ハイウェイ概観地図

KKHの最高地点: クンジュラブ峠

中国新疆地区のカラコルム・ハイウェイ

カラコルム・ハイウェイ(The Karakoram Highway:KKH)は世界一高い舗装国際道路である。中華人民共和国からカラコルム山脈を横切りパキスタンへと通じる。途中海抜4,693メートル（15,397フィート）のクンジュラブ峠を通るが、これは世界一高い舗装国境横断道路である。

パキスタン北方地区と古代シルクロードを結ぶハイウェイは、カシュガルから約1,200kmの長さがあり、中華人民共和国の新疆地区からパキスタンアブダバート地区のHavelianにある。ハイウェイをのばしていった先には、パキスタンイスラマバード西方のハッサン・アブダルにあるグランドトランクロードがある。ハイウェイの大部分はパキスタン北方地区を通っている。

[編集] 観光事業

近年では、カラコルム・ハイウェイは冒険旅行の目的地となっている。ハイウェイは、登山家たちがこの地域にある高山、氷河、湖へアクセスすることを容易にした。イスラマバードからギルギットやスカルドゥへ道続きでいくことが出来る。パキスタン北方地区には、登山遠征隊たちの主要な拠点が2つ存在する。

9-11のイベントはこの道の観光客交通量を減少させる副作用を持っている。なぜなら、パキスタンは直後に立ち入り禁止区域になると観光客にみなされているからである。主に非英語圏の国（ヨーロッパの多くを含む）からの観光逆はもう一度旅行を行う。イギリスおよびアメリカの観光客はこれらに悪感情を抱いているため、多くは不参加となっている。

[編集] 山と氷河

カラコルム・ハイウェイは、パキスタン北方地区にある大部分の峰と、中国新疆の様々な峰への小道を提供している。これには、バルトロ氷河のような世界最大の氷河もいくつか含まれている。世界にある8000メートル峰のうちパキスタンにある5つはハイウェイで行くことが出来る。

K2：中国とパキスタンとの国境にあり、標高8,611mで世界第2位。
ナンガ・パルバット：パキスタンにあり、標高8,125mで世界第9位。
ガッシャーブルムI峰：中国とパキスタンとの国境にあり、標高8,080mで世界第11位。
ブロード・ピーク：中国とパキスタンとの国境にあり、標高8,047mで世界第12位。
ガッシャーブルム II-IV峰：パキスタンにあり、標高8,035m-7,932mで世界第13-17位。
マッシャーブルム (K1)：パキスタンにあり、標高7,821mで世界第22位。
ムズタグアタ：中国にあり、標高7,546m。
Kongur Tagh：中国にあり、標高7,719m。

[編集] 湖

様々な湖がカラコルム・ハイウェイによってアクセスが容易になっている。

カラクル湖：新疆（中国）
Sheosar Lake：デオサイ平原（パキスタン）
サトパラ湖：スカルドゥ（パキスタン）
シャングリラ湖：スカルドゥ（パキスタン）
ラマ湖：アストール付近（パキスタン）

[編集] デオサイ平原

標高4,115メートルの地点にある世界で2番目に高い平原のデオサイ平原がスカルドゥの南方とAstore Valleyの東方にある。平原の広さは3,000平方km。一帯は1993年にデオサイ国立公園に指定された。

[編集] 壁画とペトログリフ

Chilas付近の古代のペトログリフ

20,000以上の壁画とペトログリフがパキスタン北方地区のカラコルム・ハイウェイ周辺に存在し、これらはフンザとシティアルとの間にある主要な10カ所に集中している。彫刻は様々な侵入者、商人、巡礼者により処分された。もっとも初期のものは紀元前5000年から1000年にさかのぼり、これには動物や3人の男、そして狩猟者たちが自信より大きな動物を狩っている様子が描かれている。これらの彫刻は石器で岩に掘られており、経過年数を表す厚い緑青に覆われている。

考古学者のKarl Jettmarはさまざまな碑文から読み取られる歴史をつなぎ合わせ、その発見をRockcarvings and Inscriptions in the Northern Areas of PakistanとBetween Gandhara and teh Silk Roads - Rock carvings Along the Karakoram Highwayに記録した。

[編集] ギルギットとカシュガル間のコミューターサービス

2006年3月に、それぞれの政府は、2006年 6月1日からパキスタンのギルギットから中国のカシュガルへの毎日のバスの便が開始され、ハイウェイを600km延長する道路工事が行われるであろうということを発表した。 [1]

地滑りによりたびたび交通が何時間も断絶される

[編集] 天候

ハイウェイは春または初秋に最もよく旅行される。厳しい冬の間の大雪は長期間ハイウェーを閉鎖することがある。7月と8月ごろの激しいモンスーン雨は、数時間以上の間道路をふさぐ泥流を時として発生させる。クンジュラブ峠にある中国とパキスタンの国境は毎年5月1日から10月15日の間だけ開いている。

パキスタンのカラコルム・ハイウェイにあるマイルストーン

[編集] 歴史

ハイウェイはパキスタンおよび中国政府により建設され、建設開始から20年が経過した1978年に完成した。多くのパキスタン人および中国人労働者が、建設中の地滑りや転落事故で死亡した。ハイウェイの道は古代のシルクロードをなぞっている。

パキスタン側では、道路はパキスタン陸軍工兵隊を雇用したFWO（Frontier Works Organization：国境作業組織）により建設された。まもなく、パキスタン軍のチーフエンジニア分隊がカラコルム・ハイウェイの歴史を記録するプロジェクトの作業を行っている。建設時に働いていた古参兵のMuhammad Mumtaz Khalid准将（退役）は、カラコルム・ハイウェイの歴史を書いている。

インドとパキスタン間のカシミール地区を巡る対立が非常に過敏な状態であるため、カラコルム・ハイウェイは戦略上重量な拠点となっている。

[編集] 参考文献

Curzon, George Nathaniel. 1896. The Pamirs and the Source of the Oxus. Royal Geographical Society, London. Reprint: Elibron Classics Series, Adamant Media Corporation. 2005. ISBN 1402159838 (pbk; ISBN 1402130902 (hbk).