カワサキ・Z1000MKII
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Z1000MKII(北米仕様はKZ1000MKII)とは、川崎重工業が1978年から1980年にかけて製造販売していた総排気量1015 ccのオートバイである。
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[編集] 主要諸元(北米仕様)
- 製造初年:1978年(1979年モデルから)
- 全長×全幅×全高:2180 × 900 × 1180 mm(欧州仕様は2240 × 815 × 1155)
- メインフレーム:鋼管ダブルクレードル
- サスペンション形式:
- フロント:テレスコピック
- リア:スイングアーム
- ブレーキ
- 前輪:ディスクブレーキ(ダブル)
- 後輪:ディスクブレーキ(シングル)
- 乾燥重量:245 kg
- エンジン形式:KZT00AE型(空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒)
- 総排気量:1015 cc
- ボア×ストローク:70 × 66 mm
- 圧縮比:8.7
- 最高出力:93 hp / 8,500 rpm
- 最大トルク:9.1 kg-m / 7,000 rpm
[編集] モデルチェンジによる仕様の変遷
- Z1000-A3(1979年モデル)
- Z1000-A3A(1979年モデル、排ガス対策車)
- Z1000-A4(1980年モデル):フロントフォーク エンブレム追加
[編集] 発売された背景とモデルの運命
1972年の発売以来4年続いたZ1/Z900は、1976年に4本マフラースタイルを捨て2本マフラーとなり、排気量も1リッターに拡大された。しかし排ガス対策の影響等によりエンジン出力にさしたる向上がないなどの理由により販売成績は伸び悩んだ。一方、1977年に発売したZ1-Rは種々の問題を抱えながらも高出力エンジンと直線基調のスタイルが好評で、高価格にもかかわらず販売台数を伸ばした。これを受けて、1リッタークラスのメインストリームであるZ1000も1978年のモデルチェンジ(1979年モデル)に際して直線を基調としたスタイルに一新され、名称もZ1000MKII と変更された。スペシャルモデルであるZ1-R に対して、旗艦(Z1300も同年発売されたが、これはツアラー指向モデルであり、カワサキが主戦場となるクラスであると考えていた「ZAPPER」とは呼び難かった)としてのボリューム感も残したデザインは歓迎され、エンジン出力も93 psとなったことで、前年より続々投入された競合他社製1リッタークラスに対しても、動力性能的にはかろうじて競合しうるモデルとなった。
Z1000MKII は2年間販売されたが、モデル末期には性能向上の著しい競合他社の後塵を再び浴びる機会が増えるようになった。これに対抗するには、当時のフレーム / エンジンのままでは軽量化や出力アップの余地がもはや無いとの判断により1980年のモデルチェンジ(1981年モデル)ではフレームの新製および徹底したエンジンの改良を行ったZ1000 (J) にバトンタッチされることとなった。この1980年のモデルチェンジは、1リッタークラスのカワサキZシリーズ史のなかでも一つの節目となるものであり、その後の高性能化の起点とも言えるが、20年以上を経過した後にあっても、これら1980年以前のモデル群には根強い愛好家が世界的に数多く存在する。
[編集] 派生車種
Z1000MKⅡと同時期にエンジン及び基本フレームを共有した派生車種としては、
- Z1000ST(型式はZ1000-E1、E2)、シャフトドライブ車
- Z1000 Feul Injection(型式はZ1000-H1)、燃料噴射装置装着車(1980年モデルのみ)
- Z1000LTD(型式はKZ1000-B3、B4)、アメリカンタイプ
- Z1R-Ⅱ(型式はZ1000D2、D3)、カフェレーサータイプ
などがある。