ガレアス船
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ガレアス船(がれあすせん、galleass、galliass 、mahon)
交易用の大型ガレーから発達し、軍用転換され、帆船とガレー船の中間的な性格を持つ近世に用いられた船。ガレアス船は通常のガレー船より格段に大きく、三本のマストと前部と後部に楼閣を持つ特徴ある作りになっており、32本を超える多数のオール一つ一つに漕ぎ手が5人程度配置された。また、ヴェネツィアでのガレー船競争で通常のガレー船に勝てるよう、高速度が出るようにも設計され、、軍艦として漕ぎ手の頭上には砲列甲板があり、通常のガレー船よりも多くの大砲が積めるようになっていた。
レパントの海戦においてはガレアス船がキリスト教連合・オスマントルコ帝国両軍に用いられ、艦隊の旗艦として戦いに大いに貢献した。しかし、一隻当たりの建造コストが高く、量産が出来ない事に加え、通常のガレー船に比べてマストの数が多い事が軍艦としては致命的な欠点であった。大砲が次第に改良されていく中、戦闘で大型帆船に舷側に捕らえられるとほとんどのガレアス船が無力化し、重火砲の攻撃にさらされるだけとなってしまった。
その後、ガレアス船は徐々に主力軍艦としての役割を失い、ガレオン船や戦列艦といった大型帆船と徐々にその役を代替わりする事となったが、ヴェネツィアやトルコでは17世紀後半以降も使われ続けた。
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