ガードレール
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ガードレール (guardrail) は、道路の路肩や歩道との境界、中央分離帯などに、設けられる保護用の柵である。道路用ガードレールは車両用防護柵ともいわれる。
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[編集] 概要
何らかの理由で、車が道路をはみ出して走行しようとした場合に道路外へ逸脱することを防ぎ、車両の進行方向を誘導するとともに、衝撃を吸収し、車そのものや運転者、歩行者あるいは道路沿いの建造物や街路樹を保護する目的で設けられる(以前は運転者の視線誘導の目的も設置基準にはあげられていた)。一般的には、道路に埋め込まれた支柱に波型の鋼板が取り付けられた構造をしている。高さは場所によるが、80cm前後が一般的である。
- 交差点や、横断歩道などでの切れ目には、波板ではなく歩道側に丸く反った袖レール(袖ビームともいう)が取り付けられる。
- 支柱にパイプ状のものをつけたもの(ガードパイプ)もある。
- 山間部などでは、着雪による破損を防ぐ目的として支柱にワイヤーロープを張った形式のものもあり、ガードケーブルと呼ばれる。
- 景観への配慮や間伐材の有効活用を目的とした木製のもの(長野県などで採用事例が見られる)もある。
色は一般に白であるが、高速道路や国道などでは灰色のものや銀色(亜鉛メッキを施しただけのもの)がある。地方道には景観への配慮などを考慮してさらに別の色も存在することがある。
- 山口県県道には、黄色(ナツミカン色)のガードレールがある。1963年(昭和38年)、山口国体が開催されるにあたって、当時の橋本正之山口県知事のもと、ガードレールを山口県特産のナツミカンの色に塗り替えることが提案されたものといわれ、現在でも山口県管理の道路(県道及び一部の国道)は黄色のガードレールが標準となっている。
- 東京都内の一部には、緑色のものが多い。
設置される場所、目的などに応じてS種(衝撃基準650kJ)~C種(同45kJ)などの強度種別が決められている。
鉄道における線路のカーブ部分や分岐部分に、脱線防止用にレールと並んで設置されるものもガードレールというが、一般的には道路際に設けられるものを指すことが多い。
[編集] 金属片問題
2005年5月28日、埼玉県行田市で自転車に乗った中学生が、ガードレールの継ぎ目に刺さっていた鋭い三角形の金属片に触れて怪我をした事故があり、その後の調査では、同年6月3日時点で全都道府県の4200ヶ所以上にガードレールの継ぎ目に鋭利な金属片が刺さっていたことが判明し、それを受けた国土交通省の緊急点検結果報告では、6月8日時点で37,893ヶ所で確認されたと発表があった。
原因については悪質ないたずら、自動車の接触による車体の一部や古い道路標識の一部が残ったものなど諸説がいわれていたが、見つかった金属片のほとんどが自動車の車体由来のものだったとの結論に至り、接触事故説が有力となる。そして、国土交通省で専門家による「防護柵への付着金属片調査委員会」を発足させて詳しい原因を調査した結果、2005年7月29日に「自動車の接触事故が原因」とする最終報告書が出された。
見つかった金属片は、錆などの状態から長期間ガードレールに付着していたと思われるものも多数発見されている。これらの金属片を長年にわたって発見できなかったことについては、道路行政の問題点として指摘されている。
調査委員会は今後の安全対策として、道路管理者が歩行者の視点に立った道路点検などを検討するよう提言し、金属片が付着しにくいガードレールの開発を目指すべきとしている。
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