キャロル・キング
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キャロル・キング (Carole King, 1942年2月9日 - )は、アメリカ、ニューヨーク市・ブルックリン生まれの女性シンガーソングライター・作曲家。本名キャロル・クライン(Carole Klein)。1958年に歌手デビュー。一人目の夫、ジェリー・ゴフィンとの間に生まれた長女であるルイーズ・ゴフィンも、母親同様シンガーソングライターとして活動している。離婚歴二回(最初の夫はジェリー・ゴフィン、二番目の夫はベーシストのチャールズ・ラーキー)。
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[編集] 経歴
大学在学中にポール・サイモンからデモ・テープの作り方を教わった彼女は、自分で作ったデモ・テープを売り込んで1958年、ABCパラマウント・レコードからシングル・デビュー。しかしながらその後ABCやRCAなどに残した4枚のシングルは何れも失敗に終わり、彼女は一旦歌手としての道を頓挫することとなる。
1960年代には当時の夫ジェリー・ゴフィンとのソングライター・コンビで、「ロコモーション」「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ」など後々まで歌い継がれている数々の名曲を生み出した。1960年から1963年にかけての三年間で、ふたりは延べ20曲あまりの全米トップ40ヒットを世に送り出している。彼女自身もシンガーソングライターとして1曲だけこの時期に「イット・マイト・アズ・ウェル・アズ・レイン・アンティル・セプテンバー」という曲で全米トップ40入りを果たしている。しかし、飛ぶ鳥を落とすような勢いもビートルズの全米進出を機に翳りを見せ始め、仕事上の不和がプライヴェートにまで影響を及ぼしたらしく68年にジェリーとキャロルは離婚してしまう(仕事上ではその後もたびたびパートナー関係を続けている)。
1970年代に入ってからはシンガー・ソングライターとしての活動を本格的に開始。1971年に発売された彼女のセカンド・ソロ・アルバム『つづれおり』(Tapestry)は、グラミー賞4部門制覇、全米アルバムチャートで15週連続1位、その後も302週連続でトップ100にとどまるロングセラーとなる。現在もなお多くの人々に愛され、世界中で延べ2200万枚を超える驚異的なヒットを記録している歴史的名盤である。その中の1曲であるシングル「イッツ・トゥ・レイト」は1971年6月19日から5週連続全米No.1を獲得している(シングル年間チャートでは第3位)。同じアルバムから「きみの友だち」をジェームス・テイラーがカバーし同年7月31日にシングルチャートで№1を獲得している。その後もアルバム『ミュージック』『喜びにつつまれて』、シングル「ジャズマン」など順調にヒットを連発。彼女は1970年代前半から中期を代表するヒットメイカーの一人となり、2つの年代にわたって天下を取ったのである。
1977年にキャピトル・レコードに移籍後の最初のアルバム『シンプル・シングス』(Simple Things)もゴールド・ディスクを獲得。しかしそれ以後これといった大きなヒットはなく今に至っている。1990年には初の来日公演が実現。同年には1960年代の職業作曲家時代の功績が称えられ、ジェリー・ゴフィンと連名でロックの殿堂入りも果たしている。
1990年代以降は、映画主題歌や他アーティスト(セリーヌ・ディオン、ザ・ウィルソンズなど)への曲提供などマイペースで音楽活動を継続し、2枚のオリジナルアルバムと1枚のライブアルバムを発売。2004年には「リビングルーム・ツアー」と題した北米コンサートツアーを行い、翌年には同ツアーの音源を記録したライブ盤が発売され、なかなかの好評を集めている。
ちなみに、ニール・セダカのヒット曲『おおキャロル』は、キャロル・キングのことを歌ったもの(お返しに彼女はニール・セダカのことを歌った『おおニール』を発表している)。
[編集] ディスコグラフィ
[編集] オリジナル・アルバム
- 『夢語り』 - Now That Everything's Been Said / The City (1968)
- 『ライター』 - Writer (1970)
- 『つづれおり』 - Tapestry (1971)
- 『ミュージック』 - Music (1971)
- 『喜びは悲しみの後に (ライムズ・アンド・リーズンズ)』 - Rhymes and Reasons (1972)
- 『ファンタジー』 - Fantasy (1973)
- 『喜びにつつまれて』 - Wrap Around Joy (1974)
- 『おしゃまなロージー』 - Really Rosie (1975)
- 『サラブレッド』 - Thoroughbred (1975)
- 『シンプル・シングズ』(未CD化) - Simple Things (1977)
- 『ウェルカム・ホーム』(未CD化) - Welcome Home (1978)
- 『タッチ・ザ・スカイ』(未CD化) - Touch the Sky (1979)
- 『パールズ』 - Pearls (1980)
- 『ワン・トゥ・ワン』 - One To One (1982)
- 『スピーディング・タイム』 - Speeding Time (1983)
- 『シティ・ストリーツ』 - City Streets (1989)
- 『カラー・オヴ・ユア・ドリームス』 - Colour Of Your Dreams (1993)
- 『ラヴ・メイクス・ザ・ワールド』 - Love Makes The World (2001)
[編集] ベスト盤、ライブ盤等
- 『グレイテスト・ヒッツ』 - Her Greatest Hits (1978)
- 『私花集』 - Ode Collection 1968-1976 (1994)
- 『タイム・ゴーン・バイ』 - Time Gone By (1994)
- 『イン・コンサート』 - In Concert (1995)
- 『カーネギーホール・コンサート』 - The Carnegie Hall Concert June 18,1971 (1996)
- 『ナチュラル・ウーマン~ヴェリー・ベスト・オブ』 - Natural Woman -the Very Best Of- (1999)
- 『リビング・ルーム・ツアー』 - Living Room Tour (2005)
[編集] 代表作
- ロコモーション (Locomotion) - リトル・エヴァ(Little Eva)がヒットさせ、グランド・ファンク・レイルロード、さらにはカイリー・ミノーグなど多くのアーティストがカヴァーした名曲。この曲について、ORANGE RANGEがこの曲を盗用したという疑いがあったが、キングを曲のクレジットに入れる事で、カバー扱いとし、収拾。詳しくはロコローション#盗作問題についてを参考の事。
- ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ (Will You Love Me Tomorrow) - シレルズ(The Shirelles)のために書いた曲。「つづれおり」にも収録。
- ユー・ガット・ア・フレンド/君の友達 (You've Got A Friend) - 「つづれおり」に収録。ジェームス・テイラーがカヴァーしヒットした。
- イッツ・ゴーイング・トゥー・テイク・サム・タイム/小さな愛の願い (It's Going To Take Some Time) - 「Music」に収録。カーペンターズのカヴァーが有名。