キンイロクワガタ属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
?キンイロクワガタ属 | ||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() ラトレイユキンイロクワガタ Lamprima latreillei |
||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||
|
キンイロクワガタ属は昆虫綱甲虫目クワガタムシ科に属する分類群。体長は数cmだが、赤、緑、金、銀など様々な色に輝く宝石のようであり、人気がある。
オーストラリアやニューギニア島などのオセアニアに分布する。名前に「キンイロ」とあるが、金色のみならず赤、緑など様々なバリエーションがあり、標本の収集家だけでなく、飼育者にも人気がある。
脛節には扇状の付属物が付いているが、あまり発達しない種もある。これで茎に傷をつけ、出てきた汁を吸うとされている。
成長のサイクルが短いことで知られる。時には孵化から数か月で羽化することもある。採卵も特に難しくないため、短期間で個体数を増やすことができる。
発酵の進んだマットに産卵するが、産卵木にも産卵する。菌糸ビンを使うと3cmほどの大型にすることもできるが、どちらかというと体長よりも色に興味を持つ者が多く、色の遺伝性について熱心に研究する飼育者も多い。
[編集] 種類
8種が知られる。
- パプアキンイロクワガタ Lamprima adolphinae
- ニューギニア島に生息する。キンイロクワガタ属の中で最も大型になり、「パプキン」として知名度も高い。大アゴは比較的発達し、櫛のように内歯がつくが力は弱い。上に反り上がっており、これは蛹時には丸まっている。オスには金色・緑色が多く、青色のものが人気がある。メスには赤色が多く、青色・紫色のものが人気が高い。また頭部、前胸背板、前翅によって色が違うこともある。
成虫の生態 パプアキンイロクワガタの成虫の生態を世界で初めて観察し一般に公開したのは「トリバネ蝶生体図鑑」の著者の昆虫写真家 松香宏隆である。しかし最初の発表媒体が小学館の小学生用の図鑑「世界のカブトムシ」であったため、その特異な生態についてその後は学術論文が一切発表されていない。昆虫写真家の鈴木知之は、松香につづきパプアキンイロクワガタの野外生態をより詳細に観察し、その著書「熱帯雨林のクワガタムシ」などに記載している。この種は現地ではベニバナボロギクと言う侵入種の花穂を切り、切り口からにじみ出る汁をなめる習性がある。松香や鈴木によると他の植物の花穂・頂芽を無作為に切ると言う情報もあり、国立環境研究所で侵入生物対策室の五箇公一と小島啓史が実験したところ、日本の園芸店で購入可能なあらゆる花卉園芸作物の花穂を切るのみならず、インゲンなどの農作物の茎も切る事がわかった。従って「植物防疫法」の定義に従えば、立派な害虫であるが、農水省は「害虫であるとした学術論文が存在しない」事を理由に第二回の輸入許可種にこの種を含めてしまった。この種はモルジブに侵入し、あらゆる農作目の花穂や頂芽を切る大害虫となっている。温暖な地域では日本でも野生化する可能性が高く、たとえ輸入許可種であっても、放虫や遺棄による野生化は絶対避けなければならない危険な害虫である。
- ラトレイユキンイロクワガタ Lamprima latreillei
- 前種とは点刻が少ないこと、前胸背板に艶があることで識別できるが、生息地も同じで交雑なども確認されており、同一種とする見方もある。
- ミカルドキンイロクワガタ Lamprima micardi
- オーストラリア西南部に生息する。
- インスラリスキンイロクワガタ Lamprima insularis
- ロードハウ島に生息する。同島は世界遺産に登録されており、流通は皆無である。