グロリア・スコット号事件
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グロリア・スコット号事件 (The Adventure of the Gloria Scott、1894年)は、アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズの短編作品の1つ。ホームズものの第二短編集『シャーロック・ホームズの思い出』に収録されている。「ストランド・マガジン」1893年4月号初出。
シャーロック・ホームズが探偵業を始めるきっかけとなった、オーストラリア行き流刑囚輸送船「グロリア・スコット」での囚人反乱の話が中心になっている。当時、ホームズはまだ大学生で、1874年の8月から9月にかけての事件と推測されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
ホームズが手がけた最初の事件。事件が起こった正確な年代は記されておらず、1872年説から1876年説までがある。
ホームズが大学生のころ、友人のヴィクター・トレヴァーの家で1か月を過ごすところから事件は始まる。
ホームズの滞在の終わりに、ハドソンという船乗りがトレヴァー邸に押しかけてきてから楽しい生活は一変する。ヴィクターが狼藉に堪りかねてハドソンを追い出した直後のある日、父のトレヴァー氏が1通の短い手紙を受け取るが、読んだとたんに驚愕の余り倒れて急死(心臓に持病があった)。その謎をホームズが解明する。
[編集] 矛盾点
- トレヴァー氏が残した告白書の中には、グロリア・スコット号の囚人反乱が30年前の1855年に起こったと記されている。これを文字通り解釈すれば、「グロリア・スコット号事件」は1885年に起こったことになってしまうが、これではホームズが手がけた最初の事件ではなくなってしまう。
- また流刑船が難破したのが1855年となっているが、オーストラリアへの流刑船は1853年に廃止されていると言う点においても矛盾している。
- また、告白書の最後にはトレヴァー氏が倒れる原因となった手紙を受け取ったと書かれている。だが、証言によるとトレヴァー氏は手紙を読んだとたんに倒れたのであるから、受け取ったと書くことはできなかったはずなのである。