ゲッツェンディーナー
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ゲッツェンディーナーは、スタジオアレックスが開発し、ガイナックスがPCエンジンで発売したアクションロールプレイングゲーム。
キャラクターデザインを『プリンセスメーカー』などを手がけた赤井孝美、シナリオを『夢幻の心臓』や『ソーサリアン』『ダイナソア』などを手がけた富一成が担当している。
タイトル名「ゲッツェンディーナー」とは、“偶像崇拝者”の事。
[編集] あらすじ
魔神復活の生贄として、絶海の孤島にそびえる魔王の城に拉致されたお姫さま(キシュ・リム・ミーサ)が主人公。ミーサを奪還する為に多くの兵と、本来は王族のみが持てる貴宝珠(キシュ・テルマピクス)の剣を与えられた一人の「勇者」が派遣されるが、ただ一人生き残った勇者はゲーム開始直後に魔王と相討ちしてしまう。ミーサが気づくと、そこには魔王と勇者の死体が・・・。ミーサは魔王の城からひとりで脱出することを決意する。
[編集] 特徴等
第三者視点による斜め見下ろし型(クォータービュー)のレイアウトを採用している。今日ではMMORPG等で良く見られるレイアウトだが当時はまだこの視点を採用したソフトは少なく(ビジュアルの精度等も鑑みると本作と同等のクオリティを持っていた作品は皆無といって差し支えない)、スタープログラマーと呼び親しまれていた富の才能はもとより先見性までもが伺える。また本編中では一切の文字情報が表示されない。勿論キャラクターの台詞がボイスである訳でもなく、画面中のグラフィックの変化等を頼りにゲームを進行していくのだ。PCゲームで慣らした富らしいゲームデザインである。
しかし物語の展開が完全な一本道な上にARPGとしては操作がかなり優しく、画面中で得られる情報を元に進めていけば確実にエンディングに辿り付ける程難易度は低い。硬派なゲームデザインながら非常にプレイヤーの遊びやすさを考え抜いているといえるのだが、しかしこれらの要素は本作が「二度三度と遊べるゲームではない」という事を如実に物語ってもいる。良質なアニメやPCゲームをリリースし続けていたガイナックスとそのゲーム部門の顔だった赤井、そして多くの名作ゲームを送り出していた富のタッグというトピックがあったにも関わらず本作の知名度と評価がそれほど高くない不遇さは、皮肉にも遊びやすさを重視したバランスの良過ぎる内容が決定付けてしまったといわざるを得ないだろう。