コルテス (身分制議会)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コルテス (Cortes)は、スペイン・ポルトガルで行われた身分制議会。僧職、貴族、都市代表の3身分を代表とすることは、他のヨーロッパ諸国と変わらない。はじめ、封建家臣・僧職会議をコルテ(もとは宮廷を意味する言葉)と呼び、13世紀後半から都市代表の出席が原則となって、コルテスが成立した。
中世スペインでは、まだ国内が分裂状態であったため、コルテス成立の年代は、レオン王国1188年、カスティーリャ王国1250年、アラゴン王国1274年、カタルーニャ13世紀末から14世紀初頭、とまちまちである。その機能は、戦費をまかなうため課税に協賛することと、都市は立法に対する請願権をもつこと、王位継承に干渉権をもつことである。14世紀以降、コルテスは解散後、国王の決定事項の実施を監視し、その他の事務処理のためにフンタを組織した。これは、アラゴンではデプタシオン・ヘネラル、カタルーニャではデプタシオン・デル・ヘネラルというように、名称は地方によって違う。
このコルテスの最盛期は、絶対王政の形成期、14世紀から15世紀であった。スペインがカスティーリャとアラゴンの2王国に編成され、最後に統一した後も、旧2王国には別個のコルテスが存続したが、都市と貴族は次第に王権に屈服し、17世紀になると次第に招集されなくなり、都市代表も王の指名に変わったため、実質的意義が失われた。1809年、第一次スペイン革命の過程にカディスで開かれたコルテスは、近代的国民議会の最初のものであり、その後コルテスという言葉は残るが、もはや身分制議会ではない。