コンピュータ技術者
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本稿で記述するコンピュータ技術者とは、企業内で利用される情報システムを構築、管理することを業とする人のことである。同じコンピュータやソフトウェアの専門家であっても、市販ソフトウェアやゲームソフトウェアなどの分野とは全く異なるものである。
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[編集] コンピュータ技術者の分類
一般的には、コンピュータ技術者は以下のように分類される。ただし国や地方、状況によって、異なる分類をされることがある。
- プロジェクトマネージャ (PM)
- プロジェクトの責任者。スケジュールや予算の確保、管理等を行う。
- システムエンジニア (SE)
- システムを企画立案、設計、運用する。システムが円滑に稼働しその目的を果たすよう最善を尽くすことに責任を負う。
- ITアーキテクト
- システムエンジニアの一種で、顧客のヒアリングを行い、それから得られる要求定義に基づき、最適なシステムを設計する。
- システムエンジニアの一種で、ネットワークの構築や維持管理、運用を行う。
- データベースエンジニア
- システムエンジニアの一種で、データベースシステムの構築や維持管理、運用を行う。
- オペレータ
- システムエンジニアの一種で、システムの運用管理を専門とする。
- プログラマ (PG)
- システムエンジニアの設計に基づき、細部の設計 (詳細設計) やプログラミングを行う。自らの設計・開発したプログラムに関して責任を負う。
[編集] 就業形態
[編集] 一般企業のシステム部門
一般企業のシステム部門に就職し、そこで仕事をする形態である。就職先の企業で長期にわたってシステムに関与するため、企画立案などシステム開発の初期段階から携わることも多い。
反面、就職した企業の業務以外に業務知識を得ることがなく、コンピュータに関する高い専門知識を得ることも困難である。
[編集] システム開発会社
システム開発を専門とする企業に就職する形態である。この場合は自社内で業務を行う場合と他社に派遣される場合がある。 一般企業から受託する元請ケースと、他のシステム開発会社から下請受託するケースがあり、5次請けも珍しくない。一般的に下に行けば行くほど給与は安くサービス残業も多い。
- 自社内で業務を行う場合
- 他社から受託、または自社で企画したシステムを開発する。複数の企業の業務を知る必要があり、高い技術を習得することが可能である。反面、プロジェクトの遅れから納期に追われることも多い。
- 他社に派遣される場合
- 一般企業のシステム部門や他のシステム開発会社などに派遣され、派遣先の技術者や他のシステム開発会社から派遣された技術者とともに業務を行う形態である。派遣先の業務に密接に関わり、他企業の技術者とも交流して人脈を形成することができるため、スキルアップに有利である。反面、場合によっては数ヶ月ごとに派遣先が替わることがあるため、人付き合いの苦手な人には不向きである。
- 派遣の形態には、労働者派遣、出向、業務委託があり、これらを組み合わせて派遣先からさらに他の派遣先に行くこともある。三社間派遣や四社間派遣もある。
- 派遣契約が終了した場合でも、システム開発会社の社員である (特定労働者派遣) ため、自社内の業務を行って収入を得ることができる。
システム開発会社には顧客企業の経営課題に対するソリューションについて論ずる必要性から、上級エンジニア、および管理・営業に転向した者の中には役員の肩書きをもつ者もおり、重役エンジニアや重役営業と呼ばれる。
[編集] 労働者派遣事業者
労働者派遣事業者に登録して一般企業のシステム部門やシステム開発会社などに派遣される形態である。システム開発会社の社員が派遣される場合と異なり、派遣契約終了時の対策を講じる必要がある (一般労働者派遣) が、派遣されている期間は高い収入を得ることも可能な場合がある。
[編集] 地域性
コンピュータ技術者の仕事は地域による差が大きく、首都圏など大都市部では大人数による巨大プロジェクトが、地方都市では少数精鋭型のプロジェクトが目立つようになる。IT関連企業も大都市部では総合ITベンダーが多いのに対し、地方都市では特定の分野に特化した企業が多い。
このため求められる人材も地域によって大きな差がある。特に地方都市では大都市部よりも技術者の絶対数が少なく、技術者個々人に高いスキルを求められることが多いため、未経験者が地方都市で就職することはかなり困難である。
近年では、首都圏で経験を積み、地方で再就職し、必要な書籍などを通販で購入したり首都圏で開かれるセミナーなどに定期的に出席するなどしながらスキルを磨く技術者、地方に戻って起業する者など、Uターン型の技術者が多くみられる。
地方でコンピュータ技術者を営む場合の問題点としては、大型書店の不足である。コンピュータ技術の進歩は激しく、新しい知識を補充し続ける必要があるが、地方では技術者の数が少ない分、技術書を取り扱う書店が少ない。最近ではオンライン書店の利用が可能であるが、立ち読みが出来ないため、品定めがしづらい。