サン・ジョルジョ級巡洋艦
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サン・ジョルジョ(San Giorgio)級は、二等戦艦(海外では装甲巡洋艦に類別)「ピサ」(Pisa)級に引き続き、イタリア海軍が第一次世界大戦前に竣工させた最後の装甲巡洋艦。
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[編集] 艦形について
前級よりも艦体は僅かに大型化し、航洋性能増加のために船首楼甲板を新たに設け、設計士官エドアルド・マスデアの手により纏められた。 船体は長船首楼甲板型で、艦首には未だ衝角(ラム)が付いている。 主砲は前級から引き続き「25.4cm(45口径)砲」を楕円筒形の連装砲塔に纏め、1番主砲塔、司令塔を組み込んだ操舵艦橋、1番から4番までの煙突を2本ずつ纏め、間にボート・クレーンの基部を兼ねる単脚檣を立て、それを挟み込むように両舷に配した「19cm(45口径)砲」を主砲塔と同じく楕円筒形状の連装砲塔を背中合わせに二基ずつ計4基を配置した。後部3番・4番煙突の背後には単脚檣と二本のボート・クレーンが付く、その背後に後部主砲塔が一基装備された。 (1916年に艦橋と前部2本煙突の間に前単脚檣が立てられ、3番煙突前の主檣は後部単脚檣となった)
[編集] 火砲等
本級の主砲は強力で擬似巡洋戦艦とも呼べる日本海軍の「筑波」級と「鞍馬」級を除けば列強の装甲巡洋艦では最強クラスであった。 主砲は新設計の「25.4cm(45口径)砲」を採用した。この砲は毎分2.6発を発射でき仰角25度で最大射程は25000mに達した。副砲は破壊力を重視して「19cm(45口径)砲」を採用し、この砲は毎分3.2発を発射できた。その他に対水雷艇用に「76mm(40口径)砲」を単装砲18門、47mm(40口径)単装砲2基、45cm水中魚雷発射管3基を装備した。
[編集] 艦体
艦体は長船首楼型を採用、舵は主舵だけである。
[編集] 機関
ボイラーは自国製造のベルキンデン式石炭・重油混焼缶14個。これに、直立型四気筒三段膨張式レシプロ機関2基で2軸推進とし出力18200hp、速力23.2ノットを発揮した。二番艦「サン・マルコ」はイタリアの主力艦としては初のタービン推進艦となり、要目はバブコック・ウィルコックス式石炭・重油混焼缶14個とパーソンズ式直結式タービン2基4軸推進方式と、異なっており、出力も23000hp、速力23.7ノットを発揮した。航続性能は速力12ノットで航続距離は3100海里と計算された。
[編集] その他
「サン・マルコ」は1937年~1938年に近代化改装が行われ、100mm連装高角砲5基を第一砲塔前に一基、副砲塔の間に一基ずつ、後部主砲塔の背後に並列二基に増備され対空火力が強化され、37mm機関砲を6門、20mm機銃12門にした。主缶を重油専焼缶8基に更新されると共に煙突を2本+2本から1本+1本に変更された。
[編集] データ
[編集] 竣工時
- 水線長:140.5m
- 全長:130m
- 全幅:22.2m
- 吃水:21.1m
- 基準排水量:-トン
- 常備排水量:9832トン
- 満載排水量:10100トン
- 兵装:25.4cm(45口径)連装砲2基、19cm(45口径)連装砲4基、76mm(40口径)単装砲16基、47mm単装砲2基、45cm水中魚雷発射管3基
- 機関:ベルヴィール式石炭・重油混焼缶22基+直立型四気筒三段膨張式レシプロ機関2基2軸推進
- 最大出力:20000hp
- 航続性能:12ノット/2672海里
- 最大速力:23ノット
- 装甲
- 舷側装甲:200mm(水線面上部主装甲)、180mm~90mm(艦首尾部)、60mm(艦首尾端部)
- 甲板装甲:51mm
- 主砲塔装甲:200mm(前盾)、-mm(側盾)、200mm(後盾)、-mm(天蓋)
- 副砲塔装甲:180mm(前盾)、170mm(ケースメイト部)
- 主砲塔パーペット部:180~160mm
- 司令塔:250mm
- 航空兵装:-機
- 乗員:684名
- 同型艦:サン・ジョルジョ、サン・マルコ