シチュエーションパズル
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シチュエーションパズル(Situation puzzle)は、謎解き遊び(クイズ)の一種。「水平思考パズル」「水平思考推理ゲーム」「yes/noパズル」「推理クイズ」とも言われる。
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[編集] 遊び方
シチュエーションパズルは通常何人かのグループで遊ぶ。一人が問題を出し、他の人はイエス・ノーで答えられる質問を出す(場合によっては「関係ありません」などのイエス・ノー以外の答もあり得る)。質問者は、出題者が考えているストーリーを推測して語る。それがすべての謎を説明できたとき、このパズルは解けたことになる。
シチュエーションパズルは厳密なものではなく、一つ以上の適切な答があることも多い。しかし目標は出題者の考えを当てる事である。判断力と論理的思考力の他に、水平思考も必要である。水平思考という言葉はエドワード・デ・ボノ(w:en:Edward De Bono)によって作られたもので、創造的な問題の解き方、与えられた状況を意外な角度から見る方法である。
[編集] 例題
以下の問題は、シチュエーションパズルの有名な問題の一つ。
ある男がバーに入ってきて、バーテンダーに水を一杯注文した。バーテンダーは銃を取り出し、男に狙いをつけて撃鉄を上げた。男は「ありがとう」と言って帰って行った。
これに対する質問と答は、たとえば以下のようなものになる。
- 質問: バーテンダーは男にOKと聞いたか? 答:はい。
Question: Did the bartender hear him OK? Answer: Yes
- 質問:バーテンダーはなにかに怒っていた? 答:いいえ。
- 質問:彼らは以前から顔見知りだった? 答:いいえ。もしくは、関係ありません。
- 質問:男が「ありがとう」と言ったのは皮肉? 答:いいえ。もしくは、いいえ、ある理由で、男は心から喜んでいました。
- 質問:男が水を頼んだとき、乱暴な口調だった? 答:いいえ。
- 質問:男が水を頼んだとき、変な頼み方だった? 答:はい。
答はこうである:男はシャックリをしていて、水を注文した。バーテンダーはシャックリの声を聞いて状況を知り、手っ取り早い方法として、銃で男を驚かしてシャックリを止めたのだ。男は驚いたが、シャックリが止まったことを知って喜んだ。そしてもう水も何も飲む必要が無くなった。
その他の有名なシチュエーションパズルは以下のようなもの。
- 父とその息子が交通事故にあった。父は即死だった。息子は重傷で病院に運ばれた。外科医はその少年を見て、とても手術はできないと言った。なぜなら少年は外科医の子供だったから。
- 急な坂道で、親子が一生懸命荷車を押している。前の人に「押しているのは貴方の息子さんですか?」と聴くと「はい」と答えた。次に後ろに回り、「前の人は貴方の父親ですか?」と質問すると「いいえ!」二人は間違いなく親子だという、どういうことなのだろうか?
- 街灯一つ無い田舎の曲がりくねった道を、ヘッドライトもつけずに猛スピードの車が通った。しかし、事故は起きない。
- Hunters came upon a cabin in the woods, where inside they found two dead. At first glance, it was obvious how they died.
- Tom is found dead in the living room, with a bar across his back.
- Adults are holding children, waiting their turn. The children are handed to a man, who holds them while a woman shoots them.
- A man walks into a bar and orders a bowl of albatross soup. He takes one bite, then walks into the bathroom and kills himself.
- 男がある店に入って、アホウドリのスープを注文した。彼はそれを一口すすると、化粧室に行って自殺してしまった。
(これは日本では「ウミガメのスープ」とされている問題)
[編集] 歴史
この手の、意外な答を要求するパズルは、多湖輝の『頭の体操』に見られるように古くからあった。実際「シチュエーションパズル」と言われているものには、古いパズルと中身が同じであるものは多い。それが最近になって流行りだしたのは、数人で会話しながら解くという楽しみ方が広まったためであろう。
解くために必要なすべての条件が、最初から問題文に含まれているものもあるが、それはクラシックタイプと見なされている。
火をつけたのはポール・スローン(Paul Sloane)のLateral Thinking Puzzles(1991年)だと思われる(未確認)。これは、全体が3部に分かれていて、第1部は問題。第2部はヒント(想定される質問に対してyes/noで答えているもの)。第3部が解答となっている。
2作目のChallenging Lateral Thinking Puzzle(1992年)は『ポール・スローンのウミガメのスープ』(2004年)として日本語に訳された。その後も現在(2005年)に至るまで、ポール・スローンによって同種の本が刊行されている。