ジェームズ・アイヴォリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジェームズ・アイヴォリー(James Ivory, 1928年6月7日 - )はアメリカ合衆国出身の映画監督・脚本家である。
父はアイルランド系、母はフランス人。オレゴン大学で建築とファインアートを学んだ後、南カリフォルニア大学のフィルム・スクールで映画製作を学ぶ。学生時代にインドの細密画についての短篇を制作したが、同じインド人俳優のナレーターを起用していた短篇映画の製作者イスマイル・マーチャントと知り合う。二人は意気投合し、インドで映画を作ることとなり、ドイツ出身でインド人と結婚した作家ルース・プラヴァー・ジャブヴァーラの英語小説『The Householder』を作家本人の脚色で映画化、1963年に長篇監督デビュー。その後もインドを舞台に英語作品を撮り、第2作『Shakespeare Wallah』(66年/TV放映題『インドのシェイクスピア』)がベルリン国際映画祭の正式出品作品となって評判となり、銀熊賞と女優賞を受賞。その後、2本の映画をインドで録った後、BBCでドキュメンタリーを監督。1972年にアメリカに戻り、知り合いだったアンディ・ウォーホルのファクトリーの面々も参加したブニュエル風のカルト作『野蛮人たち』を撮り、カンヌ国際映画祭の監督週間に参加。その後もテレビ映画などをジェームズ・メイソン、ペギー・アシュクロフトら名優を招いて撮り、1977年にはミュージカル『グリース』のスタッフを招いた3話のダンス映画『ローズランド』で、ブロードウェイの舞台俳優や、スターになる前の若きクリストファー・ウォーケンを起用した。
1979年、ヘンリー・ジェイムズの小説『ヨーロッパの人々』を映画化した『ヨーロピアンズ』が評判となり、1981年はジーン・リースの自叙伝的小説『カルテット』をイザベル・アジャーニ主演で映画化、彼女にカンヌ国際映画祭主演女優賞をもたらし、共演のマギー・スミスにはイヴニング・スタンダード映画賞の主演女優賞に選ばれる熱演を引き出した。以来、スター俳優が出演を熱望するようになり、1986年の大ヒット作『眺めのいい部屋』ではアカデミー賞3部門を受賞、続く『モーリス』ではヴェネツィア国際映画祭の監督賞を受賞。1991年の『ハワーズ・エンド』ではカンヌ国際映画祭35周年特別賞を受賞。以後も、現代もの、時代ものにかかわらず文化の衝突と違い、選択を迫られるヒロインといった基本的なテーマで作品を作りつづけている。
[編集] 主な 監督作品
- 野蛮人たち Savages (1972)
- ローズランド Roseland (1977)
- ヨーロピアンズ (1979)
- カルテット Quartet (1981)
- 熱砂の日 Heat and Dust (1983)
- ボストニアン The Bostonians (1984)
- 眺めのいい部屋 A Room with a View (1986)
- モーリス Maurice (1987)
- ニューヨークの奴隷たち Slaves of New York (1989)
- ミスター&ミセス・ブリッジ Mr. & Mrs. Bridge (1990)
- ハワーズ・エンド Howards End (1992)
- 日の名残り The Remains of the Day (1993)
- ジェファソン・イン・パリ Jefferson in Paris (1995)
- サバイビング・ピカソ Surviving Picasso (1996)
- シャンヌのパリ、そしてアメリカ A Soldier's Daughter Never Cries (1998)
- 金色の嘘 The Golden Bowl (2000)
- ル・ディヴォース/パリに恋して Le Divorce (2003)
- 上海の伯爵夫人 The White Countess (2005)