スポーツマンシップ
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スポーツマンシップ (Sportsmanship) とは、スポーツのルールを遵守してゲームを行っていくうえでの根本的な姿勢をいうものである。より広い意味で言えば、スポーツを行う上での品性ともいうことができるかもしれない。もちろん、これはスポーツを実際に行う選手に限らず、コーチ、監督、ファンをも含めて考えられるべきだろう。しかし、現実にはスポーツに取り組む動機が、何はさておいても勝負の勝ち負けにこだわったり、後援してくれる企業の営利であったりと、かなり不純なものも入り混じって、本来の目的が見えにくくなってきていることもしばしばである。たとえば、ヨットの初心者でいえば、競争用の小型ヨットレース (dinghy racing) は、セーリングの技術を磨くのにはぴったりだといわれる。しかし、その技術は競技に勝つためのレースの展開や戦略のために磨かれることになり、なんとも本末転倒というのが、現実に他ならない。これは、スキーやサッカーなどその他のスポーツ、どれをとっても大なり小なり当てはまることだろう。
スポーツマンシップは、スポーツをすること自体を楽しみとし、フェアプレーを尊重し、相手の選手に対するモラルや尊敬、同じスポーツを競技する仲間としての意識をもって行われる活動であるという姿勢、そこにこそ存在するものである。しばしば、競技に勝たなくてはとういう重圧や個人の成績、あるいは新しいテクニックを身につけることが、そのスポーツを真に楽しみ競技することを妨げているように思える。スポーツマンシップとプロスポーツの間の相克は、さらにプロスポーツの記事を見て欲しい。
『Oxford English Dictionary』によれば、“sportsmanship”の初出は、フィールディングの『トム・ジョーンズ』で、主人公のトムが5本の柵を飛び越える乗馬技術を指して用いられており、これが19世紀末から20世紀初期にかけて倫理的ニュアンスを含むようになった。