スリヨータイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スリヨータイ(The Legend of Suriyothai、สุริโยทัย)は2001年タイの映画。M・C・チャートリーチャルーム・ユコン監督作品。アユタヤー時代のチャックラパット王の王妃、女傑シースリヨータイの人生を描いた作品。興行成績がいまいちだったタイの映画界に新風を巻き起こし、タイ映画ブームの先駆けとなった大作。
チャートリーチャルーム監督によると、「スリヨータイ」の原案を提案したのはシリキット王妃であった[1](チャートリーチャルーム監督とシリキットは共にラーマ5世を曾祖父に持つ)。現代のタイ王国の歴史教育では、かつてほどタイ国史を深く掘り下げて教えてはおらず、映画を通じて国民にタイ国史にもっと興味を持ってもらいたいと王妃が望んだためであった。製作にもシリキット王妃が出資し、タイ王国陸軍とタイ王国海軍の兵士数千名が合戦シーンのエキストラとして動員された。シースリヨータイ王妃を演じているのは王族に連なる家系(クリサダーコーン家)の出身で「モームルワン」の位を持つピヤパット・ピロムパックディーである。
「スリヨータイ」の製作には、考古学と歴史の考証に5年を費やし、撮影に2年かけている。ただし、タイ人に歴史に興味を持ってもらうことを主眼においている為、必ずしも歴史に忠実に作ったものとも限らない[1]。歴史の大まかな流れとしては、『アユタヤ王朝年代記』のうち、ルワンプラスート本、御親筆本、大英博物館本、カムハイカーンチャーオクルンカオ本、そしてポルトガル人傭兵隊の記録としてメンデス・ピントの『東洋遍歴記』を参考にした[2]。
タイ映画史上最大の製作費が投入され、その額は約800〜2000万米ドルと推定されているが、タイ王族の協力があったため、実際の額は不明である。また、タイ王族の協力のため、他の監督では撮影が難しいか、あるいは不可能に近い場所での撮影が可能になった。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物(一部)
- スリヨータイ・・・主人公。クン・ピレーントーンテープと恋に落ちるが、政略結婚により引き離されてしまうが夫に忠実で、ハンターワディーとの戦いでは夫を救う。
- チャックラパット王・・・スリヨータイの夫。暗殺の多い家督争いを上手く生き抜いて王になった。
- クン・ピレーントーンテープ・・・アユタヤー王朝の下級官吏。スリヨータイと引き離されるも、のちに王となったクン・ウォーラウォンサーを暗殺し、ピサヌロークの国主になる。
- チャイヤラーチャーティラート王・・・妃のシースダーチャンに毒を盛られ暗殺される。
- シースダーチャン・・・夫チャイヤラーチャーティラート王を殺し自分の息子ヨートファー親王を殺してまで、愛人のクン・ウォーラウォンサーティラートに尽くした。
- クン・ウォーラウォンサーティラート・・・クメール人の小姓。スダーチャンと密通して利用しアユタヤーの王にまでのし上がる。
- タビンシュエーティー・・・ハンターワディー(タウングー王朝)の王。チャートリー監督は「大国の戦士」として描いた[1]としているが、映画内では、メンデス・ピントの『東洋遍歴記』における残忍で、同性愛的傾向をもつタビンシュエーティーの描写と酷似している。
- バインナウン・・・タビンシュエーティーの乳母兄弟。側近。映画では描かれていないが、後にハンターワディーの王になる。
注意:映画の中では省略されて呼ばれています。
[編集] 関連項目
[編集] 注脚
- ^ a b c Alongkorn Parivudhiphongs "Suriyothai" Bangkok Post, August 12, 2001
- ^ Pantip.com スリヨータイ特集 "หลักฐานทางประวัติศาสตร์"