ゼリーフライ
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標準的な作り方としては、おからと茹でた馬鈴薯を2対1の割合に、つなぎに卵と牛乳を加えて混ぜ合わせ、コロッケのようにまとめるが、コロッケとは異なり小麦粉・卵・パン粉による衣を着けないで素揚げしたものをソースにくぐらせたものである。いわゆる「おからフライ」の一種で、軽食として食べられることが多い。
主に行田市内の各地でスタンドやカウンター形式で売られている。なお、行田市内で単に「フライ」というと、これも行田独特の食品ではあるが全く別の食べ物となる。これはクレープとお好み焼きの中間的な粉食品なのに対し、ゼリーフライはおからとジャガイモの揚げ物で、まったく別々の食品である。
なお、フライを扱っている店舗でゼリーフライを扱う店舗は存在するものの少なく、現在、行田市の市街地にあるフライ店では、常時両方がメニューとして存在している店は「かねつき堂」のみである。
[編集] 由来
行田市持田の「いっぷく茶屋」の先々代の主人が、日露戦争に従軍した際に戦地で中国人から「野菜饅頭」なる食品の作り方を教わり、これをアレンジして作り出されたものである。近所の祭で屋台を出し、販売していた。明治末期からあるが、他の地域にまで普及はしなかった。
名称の「ゼリー」であるが、ゼラチンで固めた菓子の「ゼリー」とは関係ない(ゼリーを油で揚げると、轟音と共にゼリーが蒸発してしまう。 )。一説には、形状や大きさが小判に近いので「銭」が訛って「ゼニーフライ」から「ゼリーフライ」となったとも言われるが、詳しくはよく分かっていない。地元では縁起担ぎに「銭富来」と当て字をする店もある。
ちなみに、大きさが小判大程度であるのは、揚げやすさも極めて現実的な理由である。これ以上大きくすると具材に火が通りにくくなる。2006年にテレビ番組『元祖!でぶや』の第85回(2月3日)放送『FRIDE』のロケが行田市内の「かねつき堂」で行われた際、番組側の依頼で通常の3倍に比する巨大なゼリーフライ(しかも中に大量の唐辛子が入っている激辛仕様)が制作されたが、お店の方によれば「あれはとにかく火が通らなくて大変だった」そうである。