タイ人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タイ人の多数派であるタイ族に付いてはタイ族を参照のこと。
タイ人とはタイ国籍を持つ者のこと。
タイ国籍を持つものの中には、マレー系や華人、その他の少数民族も含まれているため、タイ人=タイ族ではない。
歴史的にはタイ人は中央平原部のシャム人と呼ばれた人を指したが、タイ政府が大タイ民族主義を進め、周辺タイ系・非タイ系民族をシャム人へ同化させる政策を取り、タイ国籍保有者すべてがタイ人となった。
[編集] 概説
タイ族(Tai、ไท)は、中国からインドシナ半島のラオス、タイにかけて広がるタイ諸語を話す全ての人々、すなわち後述する狭義のタイ人や、イーサーン人、低地ラオス人などのラオ族、タイ国内・国外のタイ系少数民族など、タイ諸語を母語とする全ての人々の総称とされる。
これに対し、タイ人(Thai、ไทย)は、「タイ族」と同様タイ諸語を話す全ての人々の総称として用いられる。ただし、多くの場合、タイ族という意味で使われている。
政治的には、タイ人はタイ王国の国籍を有する全てのタイ国民を指し、たとえエスニック・グループにおいて小タイ族に属していなくとも、またその人物の母語がタイ語であるかどうかや先住タイ人との混血であるかどうかにも係わらず、全てタイ人と呼ばれる。つまり、タイ族のほか、タイ北部の非タイ系少数民族や、マレー半島の深南部三県に住むマレー系住民をも含む。
ただ現在、タイではタイ族と他民族との混血化が進み、特に華人との混血が激しい。タイにおいて華人を自称する人は700万人いるとされるが、中国人の血統を引いていても、自ら華人と自称しない人の数はそれを遙かにしのぐ。そのため中部タイで中国人の子孫でない人を捜すのは難しいという意見も一部にはある。また北部では、タイ族と山岳民族との混血もよく見かける。少数派ではカンボジア人、ベトナム人、マレー人、モン族の混血の例もあり、タイ人の血は一滴も引いていなくとも、タイ国籍をもち母語がタイ語であれば、自らタイ人と称する人もいる。
[編集] 国籍
改正2508年タイ国籍法(1965年)においては、タイにおいて国籍を生まれながらに保持するためには「父母のどちらかがタイ国籍保有者であること」を定めており、属人主義的な傾向を見せている一方で、「タイで出生した者(ただし、永住権を持つ両親を持つ場合のみ)」という属地主義的な傾向もある。このため、タイ国籍保有者は必ずしもタイ族であるあるいはタイ族の血を引いているとは限らない。
外国人のタイ国籍帰化は、基本的に、永住権の申請→永住権の取得→帰化申請という「ややこしい」手順を取るが、一方で周辺諸国からの難民や、国境付近の少数民族などは、国籍を持っていない事によるハンディー(「外国人」は単純労働や肉体労働ができない)から、しばし反政府勢力となり、違法ビジネスや分離独立運動を行うことがあるため、一定の基準の元に積極的に国籍を与えるということが行われている。
二重国籍者はタイでは許されておらず、国際結婚カップルの子息などでタイ国籍と外国の国籍を取得している場合、20歳までにどちらかの国籍を破棄しなければならない。