タルムード
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タルムード(תלמוד Talmud 研究を意味するヘブライ語)は、6部構成、63編から成る文書群であり、モーセが伝えたもう一つの律法である「口伝律法」を収めたものであるとされる。現代のユダヤ教の主要教派のほとんどが聖典として認めており、ユダヤ教徒の生活、信仰の基となっているといわれている。ただし、聖典として認められるのは、あくまでヘブライ語で記述されたもののみであり、他の言語に翻訳されたものについては、意味を正確に伝えていない可能性があるとして、聖典とはみなされない。
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[編集] 成立の過程
ユダヤ教の伝承によれば、神はモーセに対し、書かれたトーラーとは異なる、口伝で語り継ぐべき律法をも与えたとされる。これが口伝律法(口伝のトーラー)である。
時代が下って2世紀末ごろ、当時のイスラエルにおけるユダヤ人共同体の長であったユダ・ハナシー(ハナシーは称号)が、複数のラビたちを召集し、口伝律法を書物として体系的に記述する作業に着手した。その結果出来上がった文書群が「ミシュナ」である。本来、口伝で語り継ぐべき口伝律法が、あえて書物として編纂された理由は、一説には、第一次、第二次ユダヤ戦争を経験するに至り、ユダヤ教の存続に危機感を抱いたためであるともされる。
このミシュナに対して詳細な解説が付されるようになると、その過程において、現在それぞれ、エルサレム・タルムード、バビロニア・タルムードと呼ばれる、内容の全く異なる2種類のタルムードが存在するようになる。現代において、タルムードとして認識されているものは、後者のバビロニア・タルムードのことで、6世紀ごろには現在の形になったと考えられている。
当初、タルムードと呼ばれていたのは、ミシュナに付け加えられた膨大な解説文のことであったが、この解説部分は後に「ゲマラ」と呼ばれるようになり、やがてタルムードという言葉はミシュナとゲマラを併せた全体のことを指す言葉として使用されるようになった。
[編集] 構成
ミシュナを中央に配置し、その周囲にゲマラを記述する形式となっている。
- זרעים(Zeraim):11編構成。祈りと祝福、什一税、農業に関する法を扱う。
- ベラホット
- Pe'ahペアー
- デマイ
- Kilayimキルアイム
- シェビイート
- テルモット
- マアセロット
- Ma'aser Sheniマアセル・シェニー
- Hallahハッラー
- Orlahオルラー
- ビクリーム
- מועד(Moed):12編構成。安息日と祭りに関係する。
- シャバット
- エルビン
- ペサヒーム
- シェカリーム
- ヨマー
- スカー
- ベイツァー
- ロシュ・ハシャナー
- タアニート
- メギラー
- Mo'ed Katanモエード・カタン
- ハギガー
- נשים(Nashim):7編構成。結婚と離婚、誓約に対する作法とナジル人の法に関係する。
- イェバモット
- ケトゥボット
- ネダリーム
- ナジール
- ソター
- Gittinギッティン
- Kiddushinキダシン
- נזיקין(Nezikin):10編構成。Deals with civil and criminal law, the functioning of the courts and oaths.
- ババ・カマ
- ババ・メツィア
- ババ・バトラ
- サンヘドリン
- マコット
- シェブオット
- エドゥヨット
- アボダー・ザーラー
- アボット
- ホラヨット
- קודשים(Kodshim):11編構成。生贄の儀式に関する、神殿と食事の法。
- ゼバヒーム
- メナホット
- Hullinフリン
- ベホロット
- アラヒン
- テムラー
- ケリトット
- メイラー
- タミード
- ミドット
- キニーム
- טהרות(Tohorot):12編構成。This pertains to the laws of ritual purity.
- ケイリーム
- オホロット
- ネガイーム
- Parahパーラー
- トホロット
- Mikvaotミクヴァオート
- ニダー
- マフシリン
- ザービーム
- テブール・ヨーム
- ヤダイム
- Uktzinウクツィーン
[編集] 関連項目
- モーゼス・マイモニデス
- ファリサイ派(口伝律法を伝えた教派)
[編集] 外部リンク
- 魔女の鎚 - タルムード全巻一覧