タンパク質生合成
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タンパク質生合成(タンパクしつせいごうせい)とは、細胞がタンパク質を作る工程である。 狭義には翻訳のみを指すこともあるが、アミノ酸生合成から転写、翻訳までの多段階プロセス全体を指すのが一般的である。 タンパク質生合成は、原核生物と真核生物の間で多くは共通しているが、一部異なっている。
[編集] アミノ酸生合成
アミノ酸は、重合してタンパク質を作るモノマーである。アミノ酸生合成は[[代謝経路を介した一連の生化学的プロセスで、グルコースのような炭素源からアミノ酸を合成する。 全てのアミノ酸が体内で合成されるわけではなく、例えば成人では20種類のアミノ酸のうち8種類は食物より得る必要がある。アミノ酸は合成された後、tRNA分子と結合して翻訳の過程で使われる。
[編集] 転写
転写とは、タンパク質の[[配列を運ぶmRNAがゲノムから作られる過程である。DNA二本鎖のうち、センス鎖と呼ばれる一本から鋳型が作られる。転写は次の3ステップからなる。
- DNA配列からRNAを合成する酵素であるRNAポリメラーゼが転写開始点を指示する、DNA上の特定の配列に結合する。この配列はプロモーターと呼ばれ、RNAポリメラーゼがプロモーターに結合すると、DNA鎖がほどける。
- RNAポリメラーゼは、リボヌクレオチド鎖を合成しながらアンチセンス鎖に沿って移動する。センス鎖と相補的な配列を作るため、センス鎖は利用されない。その後、アンチセンス鎖のDNAはセンス鎖のDNAを合成する鋳型として使われる。
- ポリメラーゼが末端まで来ると、mRNAが細胞内を移動できるようにするために修飾が行われる。分解から守るために5´キャップが付加され、真核生物では、安定化と分解から守るために、ポリAポリメラーゼによって3´末端にポリAテールが付加される。また真核生物では、スプライソームという酵素によってスプライシングが起こる。これによって不要なイントロンが除去され、エクソン同士が結合される。
- mRNAは核膜孔から細胞質内に移る。
[編集] 翻訳後
翻訳後には、翻訳後修飾とフォールディングが起こる。翻訳中、もしくは翻訳後にポリペプチド鎖は折りたたまれて、いわゆる二次構造や三次構造を作ると考えられている。この過程はフォールディングとして知られる。また多くのタンパク質が翻訳後修飾を受ける。これにはジスルフィド結合の形成、アセチル基、リン酸基などの官能基や脂質、糖質などの付加が含まれる。また、ポリペプチド鎖の末端からは一つかそれ以上のアミノ酸が酵素によって取り除かれる。
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