ダッソー・メルキュール

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Dassault Mercure

ダッソー・メルキュール（Dassault Mercure）とはフランスの航空機メーカーであるダッソーが開発した双発ジェット旅客機である。ボーイング737と同じようなコンセプトで作られており、外観もよく似ていたが、ボーイング737よりも主翼が大きく胴体幅もわずかに大きかった。短距離路線の市場を目指していたが、中距離路線にも投入できる航空機の方に世界の航空会社の受注が集まったため、メルキュールはボーイング737よりも割高な機体であったため量産されたジェット旅客機のなかでも最少の12機の製造にとどまった。

[編集] 概略

ダッソーがボーイング737に対抗するため、140席クラスのジェット旅客機をフランス政府の援助により開発することになり、フランス語で水星を意味するメルキュールと命名された。1969年 6月には、原寸模型がルブールジェ空港で公開され。1971年 4月4日に、原型機Mercure 01がダッソーのボルドー工場をロールアウトした。その機体は2機のプラット・アンド・ホイットニーJT8D-11が装着されていた。初飛行は、1971年 5月28日に飛行し、2機目の原型機（プラット・アンド・ホイットニーJT8D-15、量産型と同一エンジン）も1972年 9月7日に飛行し。1973年 7月19日には量産型も飛行した。

最初の量産型であるメルキュール100は、1974年 6月4日にエールアンテール航空で就航したが、同社のパイロットからは「エールアンテールの戦闘機」とあだ名をつけられた。また同機は客室乗務員だけでなく操縦乗員まで全て女性によって飛行した最初の民間航空機でもあったた。ダッソー社ではダグラス DC-9の後継機としてメルキュールを宣伝していたが、1970年代当時はオイルショックを含むいくつかの要因による不景気のため、最大ペイロードでの航続距離がわずか400マイルのメルキュールが国際的な商業成功はしなかった。

ダッソー社では純然たる短距離機であるメルキュールを1980年代までに1500機販売するもくろみをしており、さらにはエンジンをCFM-56に換装し胴体延長して190席クラスとするメルキュール200計画もあったが、実現することはなかった。また航続距離を2200Kmとした140席クラスのメルキュール200Cの開発が計画されたが、様々な経緯のため1974年にフランス政府からの補助金が打ち切られ、原型機2機、量産型10機の生産で終了した。ただしメルキュール構想を基本として後にエアバスA320として実現しており、まったくの無駄に終わったわけではないといえる。

また、注文が集まらずエールアンテール航空で運用されていたメルキュールは1995年 4月29日に最後の2機が引退したが、のべ360,000時間の飛行時間とおよそ440,000便で4400万人の乗客を運んだうえで死亡事故ゼロの実績を残した。