ダニエル・シュミット
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ダニエル・シュミット(Daniel Schmid,1941年12月26日-2006年8月5日 グラウビュンデン州フリムス・ヴァルトハウス Flims-Waldhaus - )はスイス出身の映画監督である。
スイスの城館のホテルを経営する祖父母に育てられた(『今宵かぎりは…』はこのホテルで撮影)。14歳頃から、映画館に通いはじめる。また、オペラにも熱中し、マリア・カラスをはじめとするベルカント・オペラのディーヴァたちに魅せられ、まるで映画『ディーバ』の青年のようにバイク・ツーリングで各地のオペラハウスに行っていた。1962年ベルリン自由大学入学。そこで、ニュー・ジャーマン・シネマのファスビンダーと出会う。短編映画を経て、72年の処女長編『今宵かぎりは…』が、ヴィスコンティに激賞され、ヴェネチア映画祭で新人監督賞受賞。以降、デカダンスとも言われる作風の作品を撮る。
80年代はオペラ演出家としても活動を始め、ジャック・オッフェンバックの『青ひげ』、アルバン・ベルクの『ルル』(ツェルハ補追三幕版)、ロッシーニの『グリエルモ・テル』(イタリア語版)、ヴィンチェンツォ・ベッリーニの『夢遊病の娘』をジュネーヴ大劇場で演出。チューリッヒ歌劇場ではエディタ・グルベローヴァ主演で人気を呼び後に収録がDVD化されたガエターノ・ドニゼッティの『シャモニーのリンダ』とベッリーニの『ベアトリーチェ・ディ・テンダ』、そしてヴェルディの『イル・トロヴァトーレ』を手掛けた。
1995年は坂東玉三郎主演『書かれた顔』(大野一雄が少女の扮装で出演)を日本で撮影している。ダグラス・サークの大ファンで、『人生の幻影』という、サークを撮ったTVドキュメンタリーも作った。
ちなみに、ファスビンダーの『天使の影』、パトリス・シェローの『Judith Therpauve』、ヴェンダースの『アメリカの友人』などに俳優として出演している。
蓮實重彦がリュミエール誌で名づけた「73年の世代」の一人でもあるが、73年に映画は作っていない(他にはヴィクトル・エリセ、ヴェンダース、クリント・イーストウッド、テオ・アンゲロプロスら)。
[編集] 主な監督作品
- ラ・パロマ La Paloma (1974)
- カンヌ映画通り Notre Dame de la Croisette (1981)
- ヘカテ Hécate (1982)
- トスカの接吻 Il bacio di Tosca (1984)
- デ・ジャ・ヴュ Jenatsch (1987)
- 季節のはざまで Hors saison (1992)
- 書かれた顔 The Written Face (1995)
- ベレジーナ Beresina oder Die letzten Tage der Schweiz (1999)