トヨタ・88C-V
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トヨタ・88C-Vは、1988年全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)参戦用のトヨタのグループCカー。前年型の87Cが、童夢設計・トムス製作のトムス童夢・セリカCの流れを組む車両であるのに対し、この88C-Vは設計は童夢ながら、TRD(トヨタテクノクラフト)で製作された、トヨタ7以来の生粋のワークスマシンである。モノコックは国産Cカーとして初めてカーボンコンポジットを採用。当時F1では一般化していたが、Cカーではジャガー、アルバなど、まだごく一部のマシンでしか採用していなかった。エンジンは新開発R32V3.2リットルV型8気筒ターボ。トヨタとしてはトヨタ7の5リットルV型8気筒以来の純レース用エンジンである。
発表自体はその半年前の2月のトヨタモータスポーツ発表会であり、4月に富士スピードウェイでシェイクダウンしたが、過敏なシャーシーのため、コーナーでオーバーステアがたびたび起こり、ドライバーを悩まさした。デビュー戦は1988年7月富士500マイル。予選7番手を獲得し、決勝ではスタートから僅か数周後にデビューレースとは思えない力走であっという間にポルシェ962Cや日産・R88Cを抜き去りトップに立ってしまう。その後R88Cに抜き返されるなど一度は後退したが、各車ピットインを済ませた後トップを奪還。R32Vエンジンの高燃費を知らしめ、中盤までトップを快走したが、その後ミッショントラブルでリタイヤを余儀なくされる。続く鈴鹿1000kmとWEC-JAPAN(このレースから2台体制)でも予選では上位を獲得するもエンジンやミッショントラブルに悩まされ最下位(それぞれ16位、21位)で完走するに留まった。この88C-Vの発展型の89C-Vでトヨタは1989年のル・マン、WSPC、JSPCに参戦する。